体内から大量の蛇が溢れ出る夢。 | 春田蘭丸のブログ

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願わくは角のとれた石として億万年を過ごしたい。

 浴室で身体を洗っていると左の脇の下に違和感を覚えた。何かがタオルに引っかかる感覚だ。
 洗うのを中断。左脇の下を確認すればバッテンの傷をそこに見つける。いずれも直径10センチほど。その傷が大量のホッチキスで止めてある。タオル越しに覚えた違和感は、どうやらこのホッチキスみたいだ。
 そういば……と、その傷、いや既に傷口は塞がっているみたいだから、傷跡と言うべきか、いずれにせよそれを見て瞬時に思い出した。本日病院にてコロナワクチンを接種してきたが、その際、注射を打たれた腕の脇が突然バッテンに裂かれ、その傷口から大量の蛇の子が溢れ出てきたのだ。すっかり忘れていたが、というか思わず「うわっ!」と叫んでしまった、あんな不気味な出来事をなぜ忘れていられたか、思い出せば不思議だが、取り乱す僕をよそに、注射を打った看護師が、「あらあら出ちゃいましたか……」と落ち着いた口調で言うと、溢れ出る蛇の子を手で払いのけ、やおらホッチキス取り出して傷を手早く塞いだのだ。
 それは思い出しても手慣れた処置だった。しかも不思議なことに裂かれた際もホッチキスで傷を塞がれる際も痛みは全く覚えなかった。しかし当然気味が悪い。
「一体なんですか、この症状?」
 動揺に自分でも震えるのが知れる声でそう尋ねた。しかし柴咲コウに面影が似る性格きつそうな看護師は素知らぬ顔でその問いをスルー。「夜には傷口塞がってますから、ホッチキスは自分で剥ぎ取ってくださいね」淡々とそう説明するばかりだった。看護師の呼び出しで駆けつけた清掃のおばちゃんが三人がかりで、机に、更に床に蠢く小さな無数の蛇と気味悪そうに格闘していた。自分の汚物を嫌々片づけさせているようでばつが悪かった。
 実際それら蛇は自分の体内から溢れ出たものだったのは確かだしね。
 それにしても今日その日のあんなにショッキングなハプニング。それを今の今まで、どうして忘れていられたのだろう? 柴咲コウ似の看護師の落ち着いた処置に安心感を覚えたからだろうか? いやいや。流石にそんな筈はない。あるいはこの極端な健忘症もコロナワクチンの副作用なのかもしれない。僕はディープなんちゃらの組織に騙されているのかもしれない。コロナそのものがこの世に存在しないあるいは茶番なのか?
 流石に蛇の子供が体内から溢れ出てきたり、今日のその出来事を忘れたりすれば、陰謀論にも嵌りたくなる。しかし今はとりあえず感触も不快なホッチキスを柴咲コウの指示に従い剥がそう。
 大丈夫だろうか? 痛くないのだろうか?
 恐る恐る傷口に手を当てる。するとホッチキスは何ら力も必要なくポロポロ落ちて行く。まるで指先に魔法が宿っているかのようだ。医療用の特殊なホッチキスなのだろうか? 今回も痛みは全くない。どういう構造かは謎だがホッチキスは全て簡単に剥がれ落ちてしまった。傷も完全に塞がっていてホッとする。大量の蛇が又どっと溢れ出てきたら今度は処置に困ると不安だったのだ。
 奇妙な一日だった。こんな悍ましい体験もう懲り懲りだ。陰謀論に嵌るか否かは別として、もうコロナワクチンは打ちたくない。体内に無数の蛇を蠢かせている自分など二度と目の当たりにしたくない。切にそう思う。
 という夢を見た。はい。ちゃんとワクチンは今後も打ちます。