雨が降り出した夜。 | 春田蘭丸のブログ

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願わくは角のとれた石として億万年を過ごしたい。

 すでに死んでいる……
 ような気もするが、
 絶望の夜なお打つ心臓の鼓動。
 今日は一体なにが起きたのだろう?

 失われた感情を
 はや探す気力も失せた。
 泣き出す一歩手前で泣けない心。
 挨拶以外なにを今日話せたろう?

 歳月は僕らにとって
 あまりにも残酷に流れた。
 経巡る季節に寄せる余裕など
 ほとんど僕らの心にはなかった。

 僕ら? なにを気取っていやがる!
 お前はいつ如何なる時も
 憐れ独りぼっちだったさ!
 他者から逃げて逃げて逃げ続けて……

 いつもの白壁いつもの影法師。
 逃れられない主人を明白に憎む
 どす黒くも寂しい独白に小さく頷いた時、
 ついに泣けたか? 窓外の雨音に気づく。