映画『ピーターラビット2/バーナバスの誘惑』 | 春田蘭丸のブログ

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願わくは角のとれた石として億万年を過ごしたい。

 世界的に有名な児童書ピーターラビットシリーズをCG駆使して実写化。現代を舞台に甦らせた映画の第二弾が本作。
 基本的には前作と同じスタイルの踏襲。相変わらず遊び心満載にCGが上手く実写と融合されている。CGを巧みに使って実写でトムとジェリー的スラップスティックコメディやってる感が新鮮で楽しい。相変わらず人形の動物たちも実写に違和感なく溶け込んで生き生き躍動している。他愛ないといえば他愛ない内容だ。しかしその他愛なさに変に斜に構えず、無心を委ねて観ていると実に心地よい。無心がやがて童心へ還ってゆくかのようだ。
 日常的に転がっている些細なものを小道具に利用して、いかに動物たちにドタバタ劇を繰り広げさせるか、その仕込まれた発想が実にユニークなものばかり。それが矢継ぎ早に飛び出してくるから、とてもサービス精神旺盛に感じる。作り手の想像力の引き出しの多さと豊かさが独特のテンポを生み出しているのだ。
 それでも本作は前作に比べると若干テンポは落ち着いている。前作は毒の効いた笑いが多め。展開が躁的印象も感じた。それに対して本作は毒は抑えめ。展開も前作よりは騒々しくない。しかしそれがパワーダウンと感じさせず、寧ろそれが一つ一つの発想を丁寧に表現した誠実さと感じさせるのが本作の魅力だ。前作も楽しめたが個人的には本作に散りばめられた発想と展開の方が好み。特に前作は中盤辺り、魂の孤独なトーマスへのピーターたちの執拗ないじめが観ていて些かしんどかったが、本作はそういうしんどさが皆無。本作を観て前作を思い出すと、作り手の力みが感じられた気がする。本作はもっとリラックスして余裕がある印象だ。それが逆に遊び心の豊かさにあるいは結びついているかもしれない。どぎつい内容が好みな人は前作の方を推すだろう。しかし加齢とともにどぎつさに接するのがしんどくなってきた僕は本作を推す。前作より本作の方がより和めた。嫌味なく最後まで楽しませてもらった。