川沿いをひとり歩き続けた。 | 春田蘭丸のブログ

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願わくは角のとれた石として億万年を過ごしたい。

 川の流れに沿って歩いてゆけば、
 いつか海へ辿り着けるだろうか。
 あるいは筏を作って流されてゆけば、
 やがて朝焼けにダイヤモンドが爆発するだろうか。

 一匹のガンバのようなネズミとなり、
 僕は仲間のネズミ達と一緒に
 まだ見ぬ海を目指して大冒険がしたかった。
 子供の頃の当て所ない夢の一つがそれだった。

 だけど形にならない夢と戯れていられる時は、
 あの娘に疼かせる性欲の処理と共に奪われて、
 あるいはあの頃にリアルな春を目指すべきだったのか、
 奪われた夢の代わりの夢を求めたあの頃に。

 更に歳月が流れてここは一体どこなのだろう。
 子供の頃に夢見た仲間も絆も得られぬまま、
 夢見る頃を過ぎた後も川沿いを歩き続けて来たのだろう、
 苦痛な現実に僕の等身大は投げ出せなかったのだろう。

 頼りなく啜り泣く幼子を生涯秘め愛でながら、
 ひとり川沿いを歩き続けるのが僕の道だった。
 辿り着けるはずもない海を倦みつ夢みつ、
 石ころ拾い集めるのが道なき僕の道程だった。