川の流れに沿って歩いてゆけば、
いつか海へ辿り着けるだろうか。
あるいは筏を作って流されてゆけば、
やがて朝焼けにダイヤモンドが爆発するだろうか。
一匹のガンバのようなネズミとなり、
僕は仲間のネズミ達と一緒に
まだ見ぬ海を目指して大冒険がしたかった。
子供の頃の当て所ない夢の一つがそれだった。
だけど形にならない夢と戯れていられる時は、
あの娘に疼かせる性欲の処理と共に奪われて、
あるいはあの頃にリアルな春を目指すべきだったのか、
奪われた夢の代わりの夢を求めたあの頃に。
更に歳月が流れてここは一体どこなのだろう。
子供の頃に夢見た仲間も絆も得られぬまま、
夢見る頃を過ぎた後も川沿いを歩き続けて来たのだろう、
苦痛な現実に僕の等身大は投げ出せなかったのだろう。
頼りなく啜り泣く幼子を生涯秘め愛でながら、
ひとり川沿いを歩き続けるのが僕の道だった。
辿り着けるはずもない海を倦みつ夢みつ、
石ころ拾い集めるのが道なき僕の道程だった。