慈しむ最期の春。 | 春田蘭丸のブログ

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願わくは角のとれた石として億万年を過ごしたい。

 やわらかい日差しが
 春を告げて降りそそぐ、
 公園のベンチにコーラを飲みながら、
 傍らにいない君に語りかけている。

 やさしい幻影が寄り添う
 この春の公園は今、
 世界の終わりの予感が気だるげに漂い、
 半ば夢を揺蕩う僕の心は平穏だ。

 自我の薄き野良猫が伸びをして、
 更に自我薄き筈の雀らが
 ひかりと戯れ夢中のお喋り。
 僕の気の利いたジョークに君も笑うさ。

 もうすぐ終わる世界を気に病むことなく
 公園のベンチに君と並んで腰かけている。
 寧ろ世界がもうすぐ終わるから炭酸も弾けて、
 素敵な嘘っぱちに溺れて最期の春を慈しむ。