絶望的な恋の行方を。 | 春田蘭丸のブログ

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願わくは角のとれた石として億万年を過ごしたい。

 あの娘は心変わりすらしていない。
 最初から僕など眼中になかった。
 二の句が継げずに黙して去った、
 悪意も啼かぬ枯れ野がしぐれる。

 顔は漠然と認識されていた気もするが、
 そもそも名前すら知られちゃいなかった。
 更に十年以上の歳月が流れて、
 世界の中心はとっくに遠ざかった。

 退屈な映画を見届ける勇気を語りながら、
 簡単に情死した甘ったれた三文作家よ、
 お前が守り通せなかった泣きべその幼な子を
 啜り泣きながら守り通す意思を生きている。

 退屈な映画くらい最後まで見届けられるさ。
 今の僕が荒廃の心で切に望むのは、
 恋とすら呼べない絶望的妄執の行方を
 最後まで貫き見届ける勇気のみ。