僕の記憶の中ではもっとしょぼく、あまり時間も潰せなかった印象で記憶に残っていた御在所山上公園が意外に心地よく、大いに時間を過ごせて良かった。ここでの散策に予想外に時間を取られ、温泉利用も含めたその後の散策が些か慌ただしくなってしまったが、これに関しては嬉しい誤算でOKだろう。この日の散策で、これだけは体験しておきたいと思っていたのがロープウェイを利用して御在所岳の山上を訪れる。更にもう一つ、日帰り温泉を利用する。この二点。その為に着替えの下着やタオルも用意して来た。
という次第で、再びロープウェイを利用して下山後は、まず温泉。「日帰り温泉できます」の看板掲げたホテルに真っ先に飛び込んだ。
温泉に関しては、時間が少し押していて慌ただしく感じたのを差し引いても、去年の秋に西浦温泉で利用した露天風呂と比べると物足りなかった。今回も露天風呂だったけど、鬱蒼と葉を生い茂らせた樹木に辺りが覆われていて、風景に全く開放感がない。それに比べると西浦温泉のそれは目の前に海が広がっていて、潮風が吹き抜けて最高に心地よかった。その分、外からは丸見えなのだろうが、誰がおっさんの裸など好き好んで見るかと全く気にならなかった。貸し切り状態の気楽さも手伝い、いつまでも心地よく浸かっていられた。今回も西浦温泉と同じく貸し切り状態で過ごせたが、露天風呂の開放感は残念ながらあまり感じられなかった。湯質は柔らかく、肌に優しかった気はするが。
後、これに関しては西浦温泉も同じスタイルだったので、こういう形態が多いのだろうけど、露天風呂の温泉と洗い場を兼ねた大浴場がフロアを隔てて別れているのが面倒臭い。両方利用するには、一旦湯で濡れた身体を拭いて、一度脱いだ服を又着直し、エレベーターを利用して移動。又改めて裸にならねばならない。そこそここれは手間だ。今回は時間も押していたこともあり、露天風呂だけ利用して、大浴場で身体を洗うのは諦めようかとも考えた。まぁ、せっかくだから両方利用したけど、服を脱ぐ、身体が濡れる、濡れた裸をタオルで拭く、そして再び服を着る、移動して再び服を脱ぐ、そして……って、これはかなりストレス。酔客などは面倒臭がって、裸で移動するのじゃなかろうかと思いたくもなる。せっかくの楽しい散策を、警察沙汰で台無しにするのは本意ではないので、勿論そんなことを僕はしなかったが。
陽射しは夏日だったのに、意外に露天で裸を晒すと風が寒く、ぶるぶる震えながら慌てて湯に浸かったのが記憶に残りそうだ。やはり標高が高い山峡は気温が低くなるのだろう。後で調べてみたら湯の山温泉は、昔は避暑地として利用されていたそうだ。さもありなん。今回の散策は4月に実行できなかった春の散策の代わりだったが、こと湯の山に関しては春よりこの時期で正解だったかもしれない。風景を愛でるのなら、紅葉の時期に来ても良い気はする。
いずれにせよこの地は交通の便も良いので、又いつか訪れる機会はありそうな気はしている。金華山を最初はロープウェイ使ったけれど、次は自力で登山したように、御在所岳も今度は徒歩で山頂目指してみたい気持ちもある。