今回も『真田丸』が好調。堺雅人が演じる真田信繋の初々しい微笑ましさを筆頭に、その兄も、そして父親と母親も、登場人物のキャラクターが生き生きと立っている。内野聖陽が演じる家康も、その威厳の欠片もないコメディタッチな落ち着きのなさが従来にない描き方で、でも案外こういうキャラクターが正解だったのかもな……と思わせる説得力がある。
良い。今回の大河ドラマは今の処、四年前の『平清盛』と甲乙つけ難く良い。
今回の僕の中でのハイライトは、信繋を巡る娘ふたりの三角関係。長澤まさみが演じるきりと黒木華が演じる梅。後で調べたら、片や信繋と生涯を共にする妻となり、片や信繋の最初の子供を生む女となるそうだが、今の時点で信繋が熱をあげているのは梅。思いを寄せられている事に無自覚な信繋は梅との橋渡しをきりに頼むのだが、その際の長澤まさみのジェラシーを押し隠そうと懸命な演技が意地らしくて良かった。梅を演じる黒木華って、思いを寄せていた女性の面影が重なる処があるので、以前から応援していた女優さんだけれど、今回に関しては長澤まさみに軍配を上げる。長澤まさみって、今まで関心のない存在だったけれど、こうやって見ると表情が豊かで、とても魅力的な女優と今さら気づいた。
嫉妬心を押し隠して懸命に平静を装おうとする長澤まさみの意地らしさが、とても微笑ましくてチャーミングだった。
だけど羨ましいね堺雅人は。実際の嫁が菅野美穂で、半沢直樹を演じた際の嫁は上戸彩で、今回は長澤まさみと黒木華と同時に思いを寄せられて……
……何だか切ない。