もう降りた。 | 春田蘭丸のブログ

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願わくは角のとれた石として億万年を過ごしたい。

 十代の頃に雑誌で読んだ、誰かのこんな意見がやけに印象に残っている、「男は、プロ野球の世界で自分より年下の選手が活躍を始めるようになると一抹のさみしさを覚えるようになる……」と。
 この意見、巨人の松井秀喜がルーキーでいきなり活躍を始めた頃に身に染みる実感として思い出したものだ。そして年月は流れて、三年前に松井が引退を発表した際にも、そういえば松井がルーキーで活躍を始めた頃に……と既に過ぎ去って久しい感情を懐かしく思い出されもした。
 そして今年は遂に山本昌も引退した。
 これで完全にプロ野球の世界で自分より年上の選手は居なくなってしまった。流石にもう吹っ切れてしまっている、というか、その事に対して特に感慨は湧かない。それ以前に、とっくの昔にプロ野球の世界に関心が向かなくなっているしね。
 しかしプロ野球の世界で自分より年上が居なくなってしまった……という現実は、自分の現在位置を客観的に把握するにはちょうど良い話題ではあると思う。
 だけどこういう絡みで話を繋げると、熟女AVに出ている女優さんが自分より全員年下になった時、一抹のさみしさを覚えるようになったりもするのかな?……と二十代の頃、漠然とそんな事を考えていた節もある。当時のAV界の実態に照らし合わせれば、現役AV女優はとうの昔に自分より年下になっていなければおかしい筈なのだ。だって僕が二十代の頃の熟女ものに出演している女優さんって三十代前半が主流で、精々いって三十代後半、四十代超えて現役のAV女優などほぼ皆無に近かったのだ。
 しかし実際に今、AV女優が悉く年下になってしまった侘びしさを感じているかというとさにあらず。一体いつからAV業界はこんな異常事態に突入してしまったのか、気づけば40代のAV女優は当たり前。へたすると50代、更には60代の、既にそこまでゆくと熟女ものではなく、おばあちゃんものではないか……と突っ込み入れたくなるような商品も出回っている始末。流石にそこまで行くと恐くてチェックする気にもなれない。幾ら熟女ブームといっても、やっていい事と悪い事があるだろう……そもそも商売として成り立つのか?……と大きなお世話は承知の上で、AV業界に抗議および確認を取りたくもなる。しかし一定の数が出回っている、という事は、一定の需要がちゃんとあるという事なのだろう。
 熟女AVの異常事態を知るにつけて、つくづく思う、本当に今の日本は上手く成熟することも、年齢相応に年老いてゆくことも、様々な面で難しい世の中になっているのだな……と。他人ごとではなく我がことに照らし合わせても、そう思う。
 自分はそういう異常な世界を垣間見て我を見失うことなく、もう、きちんと年齢相応の自分と向き合ってゆきたい……最近つくづくそう思う。案外それが困難な事は承知の上で、緩やかに下降してゆく自分をきちんと認識していたい……野球の話からいつの間にか横滑りして始まった熟女AVの話題の締めが、こんな大真面目な感慨に至るのも何だけれど、切実にそう思う。
 そう、なんでもかんでも、いつまでも現役でいる必要はないのだ。