川島なお美は名古屋のお姉ちゃんだった。 | 春田蘭丸のブログ

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願わくは角のとれた石として億万年を過ごしたい。

 川島なお美の訃報は子供の頃お笑いマンガ道場を見ていた名古屋人にとって些かショックだった。名古屋の人間にとって川島なお美って、「これだから名古屋の女は…」と、そのキャラクターに同郷の自虐を込めつつ、でも、なんとなく憎み切れない愛嬌が意地らしくもあり……というアンビバレンツな感慨の元、こっそり応援する存在だったのじゃないかな(或は僕だけかもしれないけれど)。
 ワインの蘊蓄を語る際のトホホ感といい、どれだけ背伸びしても垢抜け切れぬ野暮ったさを感じさせる、典型的な名古屋の下世話なお姉ちゃんだった。でも嫌味ではなかったと思う。
 おっちょこちょいで軽薄で、どうにも困ったものだと思いつつ、でも、そこにまた親しみを覚える彼女みたいな存在には、よく見かけるご近所のおねーちゃん的な存在として、いつまでもテレビで見かけていたかった。最後の、あの痩せこけた痛々しい姿は出来れば見たくはなかった。
「今度ボクも美味しいワインが飲める店に連れてってよ。もちろん、お姉さんの奢りで」
 高嶺の花のオーラとは全く無縁で、いつでも気楽に話しかけられそうな気安さが、案外チャーミングな女性だったと思う。
 慎んでご冥福をお祈りします。