人の思いはどうにもならない。
自分の思いとてままならぬのに
他人の思いは当然だ。
あんなに楽しい時間を長年に渡って過ごして来たのに、
少なくとも僕はそう思って来たのに、
たかが職場が離れただけで
その途端、
奴の思いがこんなに離れてゆくなんて……。
そう、
この先もずっと付き合ってゆけると思っていた相手と
あっさり縁は切れてしまった。
僕は結局この荒野に
一人で立ち尽くすしかないのだろうか?
考えてみれば
何も今に始まった話ではなく、
僕はずっと一人で立ち尽くして来た。
泣き濡れて立ち尽くして来た。
途方に暮れて
いつだって一人だった。
「おかえり」
と我が影法師が僕に呼びかけ、
「ただいま」
と僕はそっと呟く。
やっぱり、
僕の居場所はここだと思う。
さみしいけれど
そのさみしさが懐かしい。