あちら側で目覚めたい。 | 春田蘭丸のブログ

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願わくは角のとれた石として億万年を過ごしたい。

 窓の外が晴れていようが雨降りだろうが関係なく、
 僕はもう
 灰色の袋小路にしゃがみ込むばかり。
 既に何もかも諦めた僕を
 何故この不様な肉体は解放してくれないのだろう。
 
 宇宙が僕に襲いかかって来る。

 時の流れが僕を内側から引き裂こうとする。

 僕は失意の中で
 すっかり諦めちまったというのに、
 しゃがみ込む僕の傍らでは我が影法師が
 袋小路の壁を引っ掻いて足掻いている。
 とっくの昔に時間切れだと言うのに
 未だ血を流してもがいている。

 親愛なる我が友よ、
 たった一人の友達よ、
 僕と一緒に
 お前も諦めてくれないか。

 愛薄き膝を投げ出し、
 ここで一緒に
 お茶でも飲もうよ。

 何処にも行けぬ足裏を結びつけ、
 ここで一緒に
 広い世界の夢でも見ようよ。

 地べた這う屈辱に馴染んだ僕たちは、
 ここで一緒に
 空を飛ぶものたちを羨んでいようよ。

 あぁ、お前が僕と一緒に諦めてくれるならば
 この袋小路を月明かりに浮かぶ
 美しい苺畑に様かえる事も可能なのに!
 
 そう、僕はここにしゃがみ込んだまま、
 お前と一緒に旅立ちたいのだ、
 あちら側の景色の中へ……と。

※ ※ ※ ※ ※ ※

 懲りもせぬ我が影法師にこの歌を捧げる、
The Doors『The End』。
https://youtu.be/xDLQlzTf9Mw
 演奏が始まる前の、「ウェイクアップ!」というジム・モリソンのシャウトは未だ色褪せず、強烈なインパクトとして胸に突き刺さって来る。いつだって終わらせて、向こう側で目覚める準備は僕とて出来ている筈なのに、あぁ、それなのに……
 それにしても、圧巻の緊張感! 凄い。そして美しい。