気の合う奴なんて、そうザラにいるもんじゃないぜ。 | 春田蘭丸のブログ

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願わくは角のとれた石として億万年を過ごしたい。

 清志郎の歌に、「気の合う奴なんて、そうザラにいるもんじゃないぜ」というフレーズがあるけれど、十二年と七ヶ月に渡って一つの職場で過ごした歳月を振り返ってみると、その歌のフレーズに本当に実感が湧く。この十二年と七ヶ月に渡る歳月で、それなりの出会いと別れを繰り返して来たと思うけれど、心から、「こいつとはウマが合う」と思える相手は、結局3人に過ぎなかった。いや、その3人以外はどいつもこいつも気に食わない奴ばかり、という訳でもなく、友好的な関係を築けた相手は他にも勿論たくさんいる。しかし、その3人以外の相手は、それなりの友好関係を築けても、どうしても何処かで気を置いてしまうのだ。雑談していても、何処かで価値観の擦れを感じたり、馬鹿話をしていても、センスの違いで、盛り上がりそうで、しかし沸点に至らぬ処で妙に気持ちが醒めてしまったり……
 まぁ、だけど考えてみれば、心底ウマの合う相手との出会いなんて、干支が一巡するまでの歳月の中で3人くらいが妥当な割合なのだろう。というか、年齢を積み重ねれば積み重ねる程に、その価値観やセンス、生活スタイルというものが確固と築き上げられてゆくので、今後は更に、心からウマが合うと思える相手と出会える確率は少なくなっていかざるを得ないと思う。
 そういう意味では明日から向かう職場でも、人間関係に期待する事は何もない。
 既に糞みたいな奴が一人いる事にも気づいているしね。
 この十二年と七ヶ月の間で出逢えた三人とは今なお連絡は取り合っているし、定期的に会ってもいるけれど、本当に、こういう相手との付き合いは大切にしていきたいな、と思う。若い頃よりも、最近の方が特にそう思う。だって若い頃は、この先、出会いなんて幾らでもあるし、ま、いいんじゃねーの……と思っていたからね。
 だけど映画『スタンド・バイ・ミー』のナレーションでも、同じような感慨が告げられていたけれど、小学校高学年頃の友達のような、ああいう連中とはもう二度と出会えることはないのだろうな……と淡い感傷まじりにそう思う。それは今現在大切と思って交流を続けている数少ない連中とて同じ事で、やはり、あの連中との交友のような訳には行かない。一体なんだったのだろうな、自我が芽生え始めたばかりの頃の、あの何とも高揚とした気分が懐かしい、あいつらとの交流は。あたかも永遠と結びついているかのような、土曜日の午後の、奴らとの冒険の日々の記憶は。……

 もう還らぬあの頃を懐かしみつつ、ベン・E・キング『Stand By Me』
https://youtu.be/rugmXGeBCDI
 この映画はもう四回くらい観ている筈だけれど、僕が今までに観た映画の中でも確実に10本の指には入る傑作だと思う。十一歳、十二歳くらいの年頃の少年の心情とその交流を、これほど的確に掬い上げている内容は早々ないと思う。ほろ苦さや粗野な暴力性も含めて、自分の少年時代を蘇らせる力があるこの作品は、機会があればまた観てみたいと思っている。
 
 だけど、さくちゃんとかモリゾウとか、ヒラカッチャンとか、皆、今頃どうしているのだろう? 僕の記憶の中では、皆、あの頃のままなのだけれどな。