歌.260 | 春田蘭丸のブログ

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願わくは角のとれた石として億万年を過ごしたい。

 晩酌のテーブルの上に爪切りが置かれている。普段そこに爪切りを置く事はないのだが、一体いつからそこに置かれていたのだろう。最近は誰かを部屋に招いた事もないし、自分が置かなければそこにある筈もないのだけれど、記憶を手繰り寄せようとしても全く思い出せない。
 或はこの部屋に僕の気づかぬ妖精の類いが住み着いていて、時折こうやってイタズラをするのかも知れない。だったら恥ずかしがってないで出ておいでよ、僕が名前を付けて可愛がってあげるよ、もしもその妖精が、デビュー当時の原田知代みたいな愛らしい姿だったらね。
 だけどその姿が、あの糞にも劣る女、魔人ブー子そっくりの憎々しげな妖精だったら、今度の節分の豆まきの時に鬼の代わりにお前に豆をぶつけて追い出してやるッ!
 或は原田知代より魔人ブー子に似た妖精が現れて豆ぶつけてやる方が、積年の恨みが晴らせて清々するかもしれない。そもそもそんな事態にでもならなければ、豆まきなんか僕はしないからね。だって僕は自分の内に巣喰う鬼を追い出す気なんて端からないからね、うん。
 という感慨の元に一首。

いつそこに我(われ)が置いたか問いたきは机上(きじょう)の爪切り物(もの)も言わねば。