甘酸っぱいような苦々しいような
複雑な味を噛みしめながらまた思い出す、
無邪気に自己陶酔に浸れていたあの頃を。
だけど青臭くも切実であった自己幻想は当の昔に崩壊して、
僕は今 それでも途方に暮れて廃墟の中に立ち尽くす、
十代の夢や希望で築こうと志し
でも建築半ばで廃墟と化した王宮のホールにて。
僕は僕だけの城を築きあげて その場所で
僕が王様として君臨できる王国を夢想していたかっただけなのかもしれない。
だけど既に夢想は破綻して、
僕は瓦礫がとっちらかるホールにて
無力な己をひび割れた鏡に映して虚けるばかりだ。
ほんとうに、
時間が解決してくれるのだろうか?
歳月の流れがこの身の内にふたたび気力を湧き立たせて
もう一度、僕を再生の季節に導いてくれるのだろうか?
もしも奇跡が起きて僕の眼差しにまた生気が戻ったならば その時は
無数の瓦礫あちらこちらから掻き集めてきて ちまちまと
手のひらサイズの造形物を幾つも築いてゆこう。
そうして未来へ、
更にあなたへ、
王宮になり損ねたこのミニマルな世界の数々を
新たなる価値観として提示する僕は意志となりたい。