これが噂のあな×ちゃん! | 春田蘭丸のブログ

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願わくは角のとれた石として億万年を過ごしたい。

 Twitterを通じて知った日本アバンギャルド界の伝説的な歌姫? その名も「あな×ちゃん」。以前より、どんなパフォーマンスおよび音楽を発信しているのか、後、どんなキャラクターの女性なのか、些か気にはなっていたのだけれど、この間YouTubeを通して、遂に、動くあな×ちゃん、喋るあな×ちゃん、笑うあな×ちゃん、はにかむあな×ちゃん、ハタキを両手にパフォーマンスに打ち高じるあな×ちゃん、マイクに向かって奇声を発するあな×ちゃん、等々、様々なあな×ちゃんを見る事が出来た。
 正直に言います、YouTubeであな×ちゃんの実態に接するまでは、「どうせ不思議少女気取ったキャラで、戸川純の出来損ないみたいな、つまんねぇハードコアパンクでも演ってるんだろ」と勝手に決め付けて嘗めて掛かっていました(なんと言っても芸名が日本語に訳すと肛門ちゃんだし、この時点で気をてらい過ぎだろ……と)。
 いや、だけどTwitterでのきゃぴきゃぴっぷりから想像するに、ここまでくたびれた印象のおばはんだとは思いもしませんでした。
 いや、もとい、ここまでスリリングな揺れをキープした、音楽的にも独自の世界観を構築している人だとは思いもよりませんでした。
 まぁ人に寄っては、「なに下らないもの評価してんだよ、こんなもの完全に気をてらった出鱈目じゃないか!」と怒り出す人もいるかもしれない。実際、怒り出すまでは行かなくても、大概の人の意見も否定的に傾くものと思われる。
 で、かく言う僕も手放しの絶賛を送りたいかと言うと実はそうでもなくて、本当に凄いのかどうか半信半疑なのだ。だけど17分に及ぶ曲を、最初、「なんだこれ? キチガイどものお遊戯会?…」と思いつつも、知らず知らずその音楽&パフォーマンスに五感が傾いていて、気づけば、「ホーミーを使ったアイヌの民族音楽にも通じる、不思議な広がりを感じさせる音楽だよな……」と、そんな感想を抱きさえもしていたし、結局さほど退屈も覚えず最後まで聞き入ってしまえたのだから、広く大衆に受け入れられる事はないにせよ、なにがしかの力を秘めた音楽なのだろうと思う。
 実際アバンギャルドやノイズミュージックというのは聴き手の想像力に委ねる面も大きいので、個々の正当な評価がなかなか難しいジャンルではあると思う。
 なんて偉そうな事を語ってしまったけれど、実はそんなにアバンギャルドやノイズというジャンルに詳しいわけではありません。精々ポップグループとかギャング・オブ・フォーとか、あの辺ちょっとかじった程度です。
 ただ自分が好きで毎日チェックしているTwitterのアカウントの方が(仮にここでは鹿丸さんとしておこう)、アバンギャルド系やノイズ系音楽のマニアックなファンで、鹿丸さんがYouTubeから漁ってTwitterに紹介するその手の音楽や、また彼がTwitterを通して交流しているアバンギャルド&ノイズ系ミュージシャンのアカウントを辿る事で、付け焼き刃ながら以前より多少その手のジャンルに詳しくなっているのも事実だと思う。
 ちなみにあな×ちゃんの存在を知ったのも、鹿丸さん経由であった。毎日Twitterを通して鹿丸さんがあな×ちゃんと楽しそうに交流しているのが微笑ましくて、割と東京のインディーズシーンでは知られた存在であるらしいあな×ちゃんに興味を覚えたのだ。
 ちなみに、これはあくまでもTwitterを通して得たのみの漠然とした印象で、実際の処は確信が持てないのだけれど、鹿丸さんを筆頭に、アバンギャルド&ノイズ系の音楽ファンの人、及び、その手の音楽に長く携わっている人は、育ちがよくて学も教養もしっかり身に付いたセンスの良い人が多いような気がするのだけれど、案外この推察は当たらずとも遠からずなのではなかろうか……と我ながらそう思う。
 だって一番多感な時期にアバンギャルドだのノイズだのって、ネーミングだけでも胡散臭くてマイナーな世界の情報を仕入れる事が出来て、しかも、実際その音源にも接する事が出来るような子たちなんて、どう考えても経済的に裕福で、親もそういう文化に理解のある、いわゆる、良い処のボンや良家の娘に決まっているのだから。
 そう、アバンギャルドだのノイズだの、まぁハードコアでもブルースでもよいのだけれど、その手の音楽に携わるのは、いかにも育ちの悪い不良とかアウトサイダーのイメージがあるかも知れないけれど、実際の処、お金に不自由しなくて親の理解力もある恵まれた環境の子しか、そういう世界を深く掘り下げ追求する事など出来ないのだ。
 僕の場合は中高生の頃に音楽雑誌を通して、そういうマイナーだけれど奥深そうな世界がある事を知った。しかし残念ながら、その手の類いの音楽を深く掘り下げるだけの恵まれた環境には生きてはいなかった、金銭面だけではなく色々な面を含めてね。