松本清張二夜連続ドラマスペシャル『黒い福音』 | 春田蘭丸のブログ

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願わくは角のとれた石として億万年を過ごしたい。

 前夜に放送された三億円事件は当然私も知る事件。昭和の未解決事件としてあまりにも有名で、この事件が醸し出すロマンに惹かれて一体どれだけのドキュメンタリーや物語が紡ぎ上げられた事だろうか。しかし今回このドラマのモチーフとなっているスチュワーデス殺人事件は不勉強ながら初めて知った。この時代のアメ公さん、しかも聖職者が事件に絡むと、こういう形で捜査介入の限界にぶちあたるのか…という事をスリリングに実感させてくれた。だけど主演のビートたけしは芸人としてとっくに興味を無くしてしまった存在で、彼が司会で仕切っている番組はこの頃まったく観ていないので、今回久しぶりにじっくり見させて貰ったが、やっぱり存在感は凄いよな。今回みたいに病を抱えて衰弱していきながらも地道に目標を追い詰めてゆく、という役どころでの彼の悲壮感はリアルだ。考えてみれば若い頃にロックだった存在の人が最後に辿り着く場所って、大概ここだったりするのな。本物のロック魂を抱えた存在は若い頃に一瞬その存在感を鮮やかに爆発させて、その後は、徐々に衰弱してゆく気怠い佇まいの中で、同時代を共有して同じように老いゆくファンに枯れて朽ちゆく美学を教えてくれるのだ、私の少年時代に輝いていたロックミュージシャンで例を上げるならば元ストリート・スライダーズのハリーとかね。~あぁパンチドランカーよバンザイ!