軍師官兵衛(第2話) | 春田蘭丸のブログ

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願わくは角のとれた石として億万年を過ごしたい。

 若き日の黒田官兵衛の初陣。戦場のリアルを目の当たりにして止まらない身体の震え。虚勢を張って、「武者震いだ」と誤馬化しつつも、戦場跡に死体が無数に転がる光景を目の当たりにして茫然自失。
 美濃攻略の戦で敵の罠に嵌まり、一人、生死の境の山中放浪を繰り返す一夜、弟を謀にて殺害した記憶もフラッシュバックのように回想される織田信長。
 絶えず死を意識する極限状況を生涯に渡り繰り返していたこの時期の武将の人間模様を現代の価値観の枠の中に無理やり押し込んでドラマ化するのは本来どだい無理な話で、実際の処は、精神を荒廃させて病んだ連中の吹き溜まりだったのだろう。
 今ふと思ったけれど、この時代の武将が一人前になるという事は、人間味あふれる心を一度病み死なせた後で、もう一度、感情の機微を忘れた醒め切った心で再生を果たす、という事なのかもしれない。
 この時代の、周囲から一目置かれる武将の到達する心の地点は、私など到底辿り着けない地点だと思う。…ま、辿り着きたくもない地点だけどね。