他の誰かに触れるその右手で | 能動的三分間

能動的三分間

わんわん

向かい合わせで
祈ることは出来ない事柄ばかりで
お互いがお互いを
認め合うために、というか求め合えるまでに要した時間が長すぎたこと。

果てし無く無謀にみえていたそれが
手の内に入ってしまうと
案外そうでもないことのように思えてきて

ふわりと香る香りが
懐かしいような新しいような

撫でた髪の柔らかさが
愛おしいような苦しいような

顎先に触れると
不揃いな髭が揺れる


思い出すあれとは
限りなく離れたもの
朝と夜のような
太陽と月のような
夏と冬のような
白と黒のような

あなたは
朝で太陽で夏で白だった

あなたと過ごした長く短い時間の間そうなりたいと思っていた
ずっと。
近づいては自分自身を傷つけて離れて
難しいことを痛感した。

でも今そばにあるものは
夜で月で冬で黒で
わたしがわたしを偽らなくても作らなくてもいいようなもの


でもその分、いつも闇ではある
闇の中の光を拾い集めては
新しく祈る、どうか、と。
でも、闇は闇と思うから闇であって、それが自身の中で光であればそれは光だ。
それくらい、わたしたちのまわりは曖昧で不確かなことで溢れている。



妹、という
その言葉の響きのあえかなこと。
罵られるよりも辛く嬉しいこと。

あの日々があって
今の自身が在って
これからの日々を願って
未来の自身が在る


途絶えさせた幸せへのみちも
繋げてくれるのなら、繋げたい


その手はふたまわりも大きくて
その足は三歩先を行く
その目は先を見据えて
その唇は信念を唱える
その背中に背負った
あなたの罪とわたしの罪は
足して2で割ればそんなに重たいものではないと
長い両手で抱きしめてくれるのなら
わたしはまだ歩いていけるね



一歩前へ踏み出したとき
みえたものがある
後ろ姿をみているだけでもいけないし
後ろ姿をみせているだけでもだめだと。
上昇も下降も隣でみていられるのなら
それは
平行線上で愛することができるのだろうと。

言葉を紡いで啓し導いてくれるのなら
わたしの力は無限に発揮できる


春がやってくる。

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