昨日はMPOの定期。ハーディング指揮でマーラーの5番でした。これまで出張や急用で何度も聴き逃してきたハーディングの指揮にようやく接することができました。マーラーの5番は実演でも録音でもかなり聴いているので、初ハーディングを評価するにはうってつけの演目でした。

ハーディングは録音ではブラームスの3番と4番、マーラーの4番、幻想を持っていますが、どれも真面目で堅い印象です。特にスウェーデン放送響を振った幻想は色々実験的なことをやって意欲的ですが、どうにも自然ではなく面白みが無い印象でした。

さてマーラーの5番ですがやはり印象通り真面目で堅かったです。原因は実演だからこそ理解できたのですが、彼の指揮にありました。バトンテクニックは素晴らしく、振った様子がちゃんと音になって現れていました。MPOは集中力が高く、反応が良かったです。しかし、振れてしまうからこそ振りすぎてしまっていてオケが棒の打点に引っ張られすぎてしまっていました。1楽章はかなり練り込んだ印象で良い出来でしたが、支離滅裂な2楽章はまとまりすぎて面白みに欠け、3楽章は3拍子をキッチリ振るので流れが悪く重くなってしまっていました。4楽章は最初から最後まで棒を使っていたのでやはり拍子に引っ張られてしまっていました。

対抗配置にしたり、最近多いですが3楽章でホルンのソロを立たせたりしてましたがどちらも効果をさほど感じられませんでした。師匠のアバドのように凝っているけど何のために?という感じでちょっと策に溺れているかのようでした。

演奏はとてもまとまっていましたし、何より彼のバトンテクニックは素晴らしかったですが、出てくる音楽は自然ではなく面白みに欠けたものでした。こればかりは仕方ないですね。マーラーはもっと本能的で人間味のある音楽じゃなければ私は受け付けないですね。ハーディングの音楽は譜面に書いてあるのをちゃんと指揮で表現しているのですが、どうにも機械的でした。何だったら向いているかなぁと思いましたが、ちょっと思い当たりません。コンチェルトの伴奏は上手いでしょうか。