スティーヴン・スピルバーグ監督

 

「スタンド・バイ・ミー」とのつながりはリチャード・ドライファス1)

 

UFOを目撃した男が,いろんなことを経て地球外知的生命体と接触するという物語

 

 

メキシコの砂漠に1945年に行方不明になった戦闘機が出現したり,世界各地で異常現象が見られます。

科学者クロード・ラコーム(フランソワ・トリュフォー),デヴィッド・ロフリン(ボブ・バラバン2))らがこれらを調査している所から始まります。

 

ロイ・ニアリー(リチャード・ドライファス)は電気技師ですが,停電の報告を受け仕事に向かいます

マクドナルドの明かりが停電で消えます。

周りの雑音で良く聞かないとわかりませんが,それまで流れていた曲はボストンの「モア・ザン・ア・フィーリング」です。

 

謎の飛行物体に遭遇し、上空から眩しい光。夜空に巨大な円盤を見つけます。

パトカーとともにUFOを追いかけて高速道路の料金所を通過する際,係員から料金を払え,25セントだというのは笑っちゃいました。25セントか。

家に帰って奥さんのロニー(テリー・ガー3))に話しても信じてもらえませんでした。

 

 

UFOを目撃した人たちの頭には謎の幻影,正体不明の岩山のイメージが現れます。

そしてロイはそのイメージに捕らわれ,その存在に執着し,日常生活に支障をきたしていきます。

がまんの限界に達した妻のロニーは子ども達を連れて家を出ていきます。

 

一方,宇宙からワイオミング州ムーアクロフトの緯度,経度やレミドドソの音階が送られてきます。音楽は例によってジョン・ウィリアムスです。

 

ラコーム博士が口笛を吹きながらレミドドソを弾いている脇のポスターはファラ・フォーセット・メジャーですね。

 

この時,地図を探すのに持ってきた地球儀が2500ドルといっていました。高速道路の料金とくらべビックリ。高い!

 

アメリカ空軍はUFOの存在を否定しましたが,アメリカ政府は秘密裏にUFOとの交信の準備を進めていきます。この地区を有毒ガスが発生したという情報を流し,立ち入り禁止にします

 

 

テレビ中継で見たロイは,自分がイメージした模型とそっくりの山が映っているのを目にし,その山,デビルズ・タワーに向かいます。

 

結局捕まってしまいますが,有毒ガスは流れていないことがわかると政府のフェイク情報だと気づき逃げ出します。

そしてデビルズ・タワーに登り,政府の実験施設を発見します。

 

そのあとの宇宙船マザーシップとの音階交信は圧倒的でしたね。

 

レミドドソの音階を送るとその音を返してきたり,セッションが始まったり,CGのない時代によくぞここまで見せてくれたと思います。

スピルバーグはいくつかCGのテストを行なったようですが当時はまだ開発の初期段階のため,使えるものではなかったようです。

 

小さなエイリアンを演じたのは,すべてバレエダンススクールの女の子達です。スピルバーグは女子の方が男子より繊細で優雅な動きができると考えたと言っています。

 

常識では説明できないものを目撃した時に,錯覚と思うか,好奇心のまま,とことんなぞを解明するかそれぞれ人は違う態度をとるのだと思います。

この映画の中に出てきて宇宙船に乗ってしまった子供は,感じるままの行動をとったということですね。

主人公のロイも子供のような心を持った大人なのでしょう。自宅のジオラマを見てもそう感じますし,宇宙船を目撃してからはその存在に執着しています。

 

その結果,家族には逃げられてしまうわけですが,奥さんのロニーの方が常識的な人間なのでしょう。

ぼくもどっちかって言うと常識的に考えちゃう方かなぁ。でもこの映画のようにガッツリUFOを目撃したのなら信じるかも

 

 

AFIの選ぶアメリカ映画ベスト100(1998年)で64位,スリルを感じる映画ベスト100(2001年)で31位,感動の映画ベスト100(2006年)で58位に選ばれています。

 

 

 

 

1)   リチャード・ドレイファス

2022/12のブログに紹介した「卒業」にも一言だけのセリフのチョイ役で出演していました。

その後出演したジョン・ミリアス監督 デリンジャー(1973)のベピーフェイス・ネルソン役やジョージ・ルーカス監督 アメリカン・グラフィティ(1973)でのカート役は印象的でした。

でもジョーズ(1975)が出世作でしょう。

そして再度スピルバーグと組んだ「未知との遭遇」が代表作でしょう。「ジョーズ」の撮影中に「未知との遭遇」撮影のうわさを聞きつけ出演したいアピールを続けて出演にこぎつけたようです。

その後,グッバイガール(1977)ではアカデミー主演男優賞を受賞しています。

オールウェイズ(1989)ではスピルバーグ監督と三回目のタッグを組んでいます。

陽のあたる教室(1995)でアカデミー賞主演男優賞にノミネートされています。

アメリカン・プレジデント(1995)でロブ・ライナー監督とまた組んでいます。

 

2)  ボブ・バラバン

2022/12に紹介した「真夜中のカーボーイ」にも出演しています。ゲイでジョン・ボイド演じるジョーに相手をしてもらい時計をカツアゲされる役でした。マイケル・J・フォックス主演のバラ色の選択(1993)では国税庁から派遣された男という役も印象に残っています。

 

3)  テリー・ガー

2023/03に紹介した「ヤング・フランケンシュタイン」でフランケンシュタイン博士の研究助手役を演じています。この頃,テレビドラマ「警部マクロード」などにも警官役で出演していて,人気があり,CMなどにも出ていたようです。

スピルバーグは30秒間のコーヒーCMで幅広い感情を伝えることができることを気に入り出演となりました。

その後もフランシス・フォード・コッポラ監督のワン・フロム・ザ・ハート(1982)やシドニー・ポラック監督のトッツィー(1982)に出演しています。「トッツィー」ではアカデミー助演女優賞にノミネートされました。