ジョージ・ルーカス1)監督

 

40年以上にわたるスター・ウォーズシリーズ,その始まりの一歩はこの映画でした。

 

 

A long time ago in a galaxy far,

far away...

    で始まり,ジョン・ウィリアムズ2)のテーマ曲が流れる中,宇宙空間の中に銀河帝国と反乱軍(共和国軍)の対立を説明した字幕が吸い込まれていきます

そしていきなり巨大な宇宙船が横切っていきます。

これだけでもう気持ちは高揚してきます

 

この映画の意義は,なんといってもこの時代にこれだけのSFX(特殊効果)を駆使してスピード感あふれる映像を表現したことだと思います。

現代のCG技術を持ってすればミニチュアの宇宙船や着ぐるみの異星人はリアリズムからはほど遠いかもしれません。

しかしこの映画以前のスペースものの名作,2001年宇宙の旅(1968)などと比べると書く格段にリアルになっています。

 

日本公開当時のパンフレットにジョージ・ルーカスによるこの映画の製作意図が載っていました。

ひどい和訳のまま掲載されていましたが,わかりやすく意訳すると次のようです。

「自分はずっとアドベンチャー映画が好きでした。ただ最近は神話的ファンタジーのジャンルでワクワクする映画がなくなったと感じています。ファンタスティックで,ストレスに満ちた日頃の生活を忘れられるような映画,宇宙,アドベンチャー,サスペンスなどの要素が絡み合った映画にしたいと思いました。この映画はわれわれ,みんなの中にある子供心にために作られた映画です。」

 

スター・ウォーズ(1977)は共和国軍(ルーク・スカイウォーカー,ハン・ソロ,プリンセス レイア,ジェダイの騎士オビ=ワン・ケノービら)と帝国軍(ダース・ベイダーら)が戦う話でSF,スペースオペラに分類されます。

 

 

レイア姫(キャリー・フィッシャー)

反乱軍(共和国軍)指導者のひとり。最初にダース・ベイダーに捕らわれますがR2-D2にメッセージを託し,オビ=ワン・ケノービに助けを求めるところから物語が始まります。

お団子ヘアスタイルが特徴的ですね。

 

 

ルーク・スカイウォーカー(マーク・ハミル)

タトゥイーン星で叔父の手伝いをしながら育った若者。R2-D2,C3POに出逢い運命が変わっていきます。

レイア姫,ハン・ソロとともにダース・ベイダー率いる帝国軍と戦い,最後はフォースを信じて,デス・スターを破壊します。

後にジェダイ騎士になります。

 

ハン・ソロ(ハリソン・フォード)

宇宙船ミレニアム・ファルコンの船長。密輸を生業とする悪党でしたがルークとオビ=ワンを惑星オルデランに連れて行くことを引き受けたことから人生が一変します。

オルデランはデス・スターのために消滅しており,デス・スターに捕らわれていたレイア姫を助けることに力を貸します。

報奨金を受けとり,おさらばするはずでしたが最後の最後に引き返して帝国軍に立ち向かっていきました。

 

 

 

 

オビ=ワン・ケノービ(アレック・ギネス)

伝説のジェダイ・マスターでルーク・スカイウォーカーの師となりました。

ダース・ベイダーも以前は教え子でした。

未来を担う若者が生き延びていたことを確認して,目を閉じてダース・ベイダーと剣を交えることをやめました。

フォースと一体になり,魂に帰化するそのシーンは素晴らしいです。カッコいいです。

 

ダース・ベイダー

かつてはジェダイ騎士だったが暗黒面に陥り,帝国軍を率いて戦っています

スター・ウォーズ(1977)では悪玉のボスとして扱われていますがスター・ウォーズシリーズの中ではかなりの重要な役割になっています。貫禄は半端ない。低音でドスのきいた声はジェームズ・アール・ジョーンズ。演じている役者は身長2mと大柄なデヴィッド・プラウズでしたが英国訛りが強くてあてレコになったようです。

ヘルメットは戦国武将の兜(一説には伊達政宗)を参考にした模様。

そのほかにもオビ=ワンの衣装はどう見ても着物だしルークの衣装も柔道着のようです。さらにライトセーバーでの闘いはフェンシングというよりチャンバラといったように日本の文化がいたるところに取り入れられています。黒澤明の影響だといわれています

 

 

 

 

 

最後のデス・スターでの突撃シーンは手に汗握る場面であり,デス・スターの爆発は爽快でした。

 

 

スター・ウォーズシリーズではこの映画がエピソード4でその後エピソード5,6のスター・ウォーズ/帝国の逆襲(1980),スター・ウォーズ/ジェダイの帰還(1983)と続きます。

エピソード4がスター・ウォーズ/新たなる希望と呼ばれるようになったのは帝国の逆襲の公開時からです。

それまではただの「スター・ウォーズ」でした。

またスター・ウォーズ/ジェダイの帰還は公開当時は「ジェダイの復讐」でした。2004年DVD BOX発売の時に「ジェダイの帰還」になったようです。

 

 

スター・ウォーズ(1977)のアメリカ公開は1977/05/25,しかし日本公開は1年遅れの1978/06/30でした。

このタイムラグはどう説明するのでしょうか。

そもそもジョージ・ルーカス監督はアメリカン・グラフィティ(1973)で成功したとはいえ,まだ駆け出しの監督でした。

「アメリカン・グラフィティ」の配給会社ユニバーサルにスター・ウォーズの企画を申し込みましたが却下され,20世紀FOXと何とか契約したようです。

しかし提示された監督料は少なく,その代り映画に関する商標権などを条件に契約にこぎつけました。

20世紀FOX社もこんな子供じみた映画が当たるとは予想しておらず,最初はアメリカの少数の映画館でおそるおそる封切られましたが,あっという間に全米を興奮の渦に巻き込み,圧倒的な興行収入を上げています。その後に日本公開も決まったようです。

 

この当時は1年遅れで公開という映画は結構ありました。そもそも国内でもみな一斉に公開されるわけではなく,東京で上映しヒットしたなら地方でも上映するといったパターンが多かったと思います。ロードショーとは本来そういう意味です。

 

ちなみにスティーヴン・スピルバーグ監督の未知との遭遇(1977)は全米公開から日本公開まで3ヶ月のタイムラグと短く全米公開は「スター・ウォーズ」の方が早かったのですが日本公開は「スター・ウォーズ」より早くなりました。

スピルバーグはジョーズ(1975)で相当な実績があったのですんなりいったということでしょう。

 

ともあれジョージ・ルーカスはこの映画のヒットや関連グッズなどの売り上げに伴い,どんどんリッチになりました。

 

「スター・ウォーズ」はアカデミー視覚効果賞受賞していますが,この映画の特殊撮影のためにジョージ・ルーカスが設立した技術開発会社インダストリアル・ライト・アンド・マジック社3)が担当しました。

この映画で得た収入はほとんどすべて次回作以降の製作費やこういった施設での研究開発費に当てたようです。

 

「スター・ウォーズ」は映画ファンの圧倒的支持を受けたにもかかわらず,当時の映画評論家の評価は非常に低いものでした

キネマ旬報の公開年のベストテンでは9位,スクリーン誌は10位とさんざんたるものです。1位はどちらもルキノ・ヴィスコンティ監督,家族の肖像(1974,日本公開1978)でした。

「家族の肖像」は良い映画だと思いますが,自分としては後の世で評価されているのはどう見ても「スター・ウォーズ」だと思うのですが・・

ちなみに「スター・ウォーズ」はスクリーン誌での読者の選ぶベストテンでは1位でした

 

1)   ジョージ・ルーカス

映画監督,プロデューサーという肩書きですが,実際に監督した映画は,THX1138(1971),アメリカン・グラフィティ(1973),スター・ウォーズ(1977),スター・ウォーズ/ファントム・メナス(1999),スター・ウォーズ/クローンの攻撃(2002),スター・ウォーズ/シスの復讐(2005)の6作品だけです。

映画会で最も商業的に成功した人です。

2005年のAFI生涯功労賞を受賞しています。

 

先日ビバリーヒルズコップシリーズを見ていたらビバリーヒルズコップ3(1994)にジョージ・ルーカスのそっくりさんが出ていると思い,クレジットで確認したところ本人でした。ビックリ

 

 

2)   ジョン・ウィリアムズ

作曲を手がけた映画は150作以上におよび,ボストン・ポップス・オーケストラの常任指揮者を行なった経歴もある作曲家,指揮者,ピアニストです。

アカデミー賞作曲賞,編曲賞で5回受賞しており,ノミネート数では52回と現役の映画人では最多です。そのほかにも音楽業界のアカデミー賞ともいうグラミー賞では25回の受賞歴があります。主だった映画は以下のとおりです。

 

スター・ウォーズに限らず,ジョーズ(1975),未知との遭遇(1977),スーパーマン(1978),インディ・ジョーンズシリーズ,E.T.(1982),ジュラシック・パーク(1993)の音楽はこれなくして映画が成り立たないくらいの重大な役割を占めていました。イントロクイズでもすぐ映画名が出てきそうです。そのほかシンドラーのリスト(1993),プライベート・ライアン(1998),ハリー・ポッターシリーズのテーマ曲(2001)などの映画音楽も担当しています。

「スター・ウォーズ」のテーマ曲はAFI映画音楽ベスト100の第一位に選ばれています。

 

さらにピアニストとしてウエストサイド物語(1960),アパートの鍵貸します(1960)に参加しています。

ホントすごいヒトです。もはや神ですね。2016年, AFI生涯功労賞を受賞しています。

 

 

3)  インダストリアル・ライト・アンド・マジック社(ILM)

今までにない特殊効果を生み出したいと考え,ジョージ・ルーカスが設立した企業です。

元々はスター・ウォーズのために作った会社ですが,この映画以降も数々のアカデミー視覚効果賞を受賞しています。以下に映画名を上げます

スター・ウォーズ/ジェダイの復讐(1983)

インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説(1984)

コクーン(1985)

インナースペース(1987)

ロジャー・ラビット(1988)

ターミネーター2 (1991)

永遠に美しく…(1992)

ジュラシック・パーク(1993)

フォレスト・ガンプ/一期一会(1994)

ただこれ以降,アカデミー視覚効果賞ノミネートはされますが受賞はしていないようです。

ライバル会社がたくさんできたからでしょうか