アーサー・ヒラー監督
「卒業」とこの映画のつながりは,まずアイビーリーグ。
主人公オリバー(ライアン・オニール1))がハーバード大学に在学中の場面から始まります。
アイビールックですね。
もう一つのつながり
「卒業」には売れないころのリチャード・ドレイファスで出演していましたがこの映画にも新人の頃の有名俳優が出ていました。
同級生役でトミー・リー・ジョーンズ2)が出演していました。
エンドクレジットではTom Lee Jonesになっていました。
今やライアン・オニールよりトミー・リー・ジョーンズの方が有名ですね。
典型的なWASP(White Anglo-Saxon Protestants3))に属するオリバーはラドクリフ大学(ハーバード大学関連の女子大学,昔はハーバード大は男子校だった)の苦学生でクッキー屋の娘ジェニー(アリ・マッグロー4))と結婚します。
ジェニーの家はカトリックです。カトリックとオリバー家のプロテスタントとは同じキリスト教でも異なるもので,歴史的に見ても戦争まで発展したこともあるようです。われわれ部外者から見てこの辺は理解できないですね。
オリバーは父親(レイ・ミランド)と折り合いが悪く,たびあるごとに反抗しています。大学院に行く学費の援助を受けず,奨学金をもらおうとしますが裕福なオリバー家には奨学金はおりません。ジェニーはパリ留学を見送り,生活のために働きます。
でもこの時オリバーの着ていたコートや革のブルゾンは相当値の張る代物でしょう。高そうなクラシックカーもそのままでした。売ったら相当な金額になりそうなんですけどね。
ジェニーが白血病で亡くなり父親が“I’m sorry…”と言おうとしているのを遮り,
”Love means never having to say you're sorry“
「愛とは決して後悔しないこと」と返します。
この言葉は生前ジェニーがオリバーに残した言葉でした。
これもAFIのアメリカ映画の名セリフベスト100に入っていました。
また死にかけている病床での会話
ジェニー「静かに崖を落ちていくみたい。底はまだかと思うのよ。」
オリバー うなずく
ジェニー「落ちたこともないくせに」
オリバー「落ちたさ,君に会った時」
恥ずかしくなるような くさーいセリフです。でもねぇ,いいセリフです。
そもそも映画そのものがセンチメンタルの極みなので作者の意図するところを読み取ってください。
この映画はアカデミー賞に作品賞,監督賞,主演男優賞,主演女優賞にノミネートされましたが,受賞したのは作曲賞(フランシス・レイ)だけでした。メインテーマはかなり有名ですがSnow Frolic という曲もきれいな曲です。
1) ライアン・オニール
「ある愛の詩」でブレイクした後, ピーター・ボグダノヴィッチ監督のペーパー・ムーン(1973)で娘のテータム・オニールと共演しています。この映画でテータム・オニールはアカデミー助演女優賞を受賞しています。またスタンリー・キューブリック監督のバリー・リンドン(1975)やウォルター・ヒル監督のザ・ドライバー(1978)への出演と主に1970年代に活躍しています。
2) WASP(White Anglo-Saxon Protestant)
白人,アングロサクソン人(もともとはイギリス民族の根幹をなす人々の呼称でドイツ北西部のサクソン地方からイングランドに移住した人々をさすイギリス系の人たち),プロテスタントのことです。アメリカの歴史では社会,政治を支配した富裕層のことを指します。
この映画の中でのオリバー家は先祖代々,由緒ある家柄でお城のような豪邸に住んでおり,先祖が大学に講堂を寄付したような財閥です。
3) トミー・リー・ジョーンズ
歌え!ロレッタ愛のために(1980),JFK(1991)などに出演していますが,僕はスティーヴン・セガール主演の沈黙の艦隊(1992)でのテロリスト役がすごく印象に残っています。
その後ハリソン・フォード主演の逃亡者(1993)でアカデミー賞助演男優賞を受賞しています。若い頃は下積みが長かったようです。
「ある愛の詩」での役柄と同様,実際にハーバード大学を卒業しているインテリです。大学時代はクリントン大統領の時のゴア副大統領とはルームメイトだったそうです。
メイ・イン・ブラック(1997)はシリーズ化され,宇宙人が関係あるのかもしれませんが,缶コーヒーBOSSのCMに出演して映画に縁のない人たちにも知れ渡った顔になっています。
4)アリ・マッグロー
「ある愛の詩」のあと,ゲッタウェイ (1972)でスティーブ・マックィーンと共演しそのまま結婚しちゃっていますがその後はあまり映画出演はしていない長ようです。