ジョージ・ミラー 監督

 

暴走族が道路を支配する近未来,凶悪なバイカー集団によって親友と妻子を奪われた一人の警察官が,深い喪失と怒りの末に復讐を成し遂げていくお話

 

 

ロレンツォのオイル/命の詩(1993)とは監督 ジョージ・ミラーつながりです

 

 

A few years from now           (字幕:今から数年後)

近未来が舞台です。

監督 ジョージ・ミラーはインタビューでマッドマックス(1979)は1997,続編マッドマックス2(1981)は1999年を舞台にしていると語っていました。

 

「警官を殺したナイトライダーという無頼漢が車で逃走中」という情報が各警官に連絡されますが,対応は様々。

 

ボッパーは青姦しているカップルを望遠レンズで覗いていましたが,そのあとはフルスロットで追いかけて撃沈。

グースはダイナーで食事中,窓の外をナイトライダーが通過したのを見て,あわててバイクで追跡。

ほかの追跡車両が道路に出てきた子供をよけて電話ボックスにに追突,グースも倒れ,足骨折(たぶん)

そして,マックス(メル・ギブソン)登場。ナイトライダーに正面から対峙してチキンゲーム。避けたのはナイトライダー。

ナイトライダー,最期は事故車にツッコミ炎上

 

マックス帰宅し,妻ジェシーと幼い子供(1歳未満か)つかの間のくつろぎです。でもマックスはグースから呼ばれて出勤

 

妻,「オイ(本当にオイと言っていました)」と声をかけて,手話で「あなたに夢中」と伝えます。

 

司法局に行くと改造車がありました。この時代,どんな時代かわかりませんが,いろんなものに不自由しているという設定です。

最後のV8,ツインオーバヘッドカム**と言っていました。

 

 *:V8とはエンジンのシリンダーが4気筒ずつ2列にVの字に並んだエンジンです。大型車に搭載されているエンジンでアメ車のイメージですね。現在の日本でV8の車では,レクサス,IS500 F SPORT Performanceでしょうか。排気量5000cc,900万円くらいする車です。ちなみにザ・ファーム 法律事務所(1993)にでてきたセリカXXは直列6気筒でした。

 **:ツインカム(DOHC)というもので元々はスポーツモデル向けの機構で,かつてはこれを「売り」に宣伝されていましたが,省エネで排ガス規制にも有利なため現在では普通になっています。

 

ウィー・エルサレムという町(駅前)に暴走族の一行がバイクで整列。

トゥーカッター(Toecutter,ヒュー・キーズ・バーン)というヘッドと駅員の会話

ヘッド 仲間を迎えに来た

駅員  到着したのは棺桶だけだ

ヘッド それが仲間だ

駅員  中身はバラバラ,哀れなヤツだ

ヘッド ナイトライダーだ,帽子を脱げ

    夜空を見上げるたびにやつを思い出せ

駅員  何でもするよ

ヘッド 見事な哲学だ,連れて行け

 

このやりとり,好きです。

 

 

そしてナイトライダーの亡骸を引き取りました。

このシーンは真昼の決闘(1952)の駅のシーンへのオマージュですかね。

 

外では族の一行がやりたい放題。

住民の男をいたぶり,バイクで引きずります。

それを見ていたカップルがあわてて逃げだしますがトゥーカッターにぶつかりそうになったため,追われました。

追いつかれた車はマサカリ状のものでフロントガラスをはじめメチャメチャに破壊され,二人は引きずりだされ暴行を受けました。最後は画面には出ませんが,カラスが鳴いてどうなったか想像させます。

 

この映画はかなり暴力的ですが,監督のジョージ・ミラーは明確な暴力シーンは50フレームくらいで,残りは暗示にしていると語っています。

 

 

この事件が警察各車に伝わり,マックスとグースは駆けつけますが,途中で途中でケツをさらけ出して逃げる男とそのそばにバラバラに破壊された車を発見。ラリッた男と鎖につながれた女子。

ラリ男はジョニーという暴走族の一員でしたが「ナイトライダー」と叫んでいて仲間だと知れました。

 

 

ジョニーは結局,釈放されました。誰も怖くて証言する人間が現われなかったため,不起訴です。

グースが怒りまくりますが,「ポリ公ザマを見ろ」と言ってジョニーは去っていきました。

 

グースは暴走族らの「お礼参り」の報復を受けます。

バイクに細工,事故ったバイクを積んでいるトラックを障害物で転覆させられ,トラックの中で宙づり状態。

グースの目が充血していましたが,実際に宙づりの時間が長かったからのようです。

もれたガソリン,トゥーカッターが「自由とナイトライダーのために」ジョニーに火をつけろと迫りました。

ジョニーはイヤだと言いましたが,結局グースは焼かれました。

 

病院に搬送されたグースには布のカバーが掛けてありました。呼吸器の作動音,ベッドからはみ出た焼けた腕,カバーをめくった時のマックスの表情,これも暗示ですね。グースの全身火傷の程度がわかります。

 

 

マックスはやめる,"I'm scared." と辞意を表明しました。その時,上役のフィフィは2-3週間休暇を取って,髭をはやして,それからやめるかどうか考えろと言われこれをマックスは受け入れました。

フィフィを演じたロジャー・ウォードは元プロレスラーで当時は一番の有名人でした。上半身裸でスカーフを着用し,鉢植えの植物に水をやっている姿はすごく印象的です。この時,聞いていた曲はプリンツ・オイゲン・マルシュでオーストリア軍の行進曲です。

このあとフィフィの出番はありませんが,この後どうしたのが気になる存在です。

 

 

マックス一家は車で旅行。

パンクで修理工場(?)に立ち寄り,修理の間,妻ジェシーと子は海岸でアイスクリームを食べると言って出かけましたが,そこに暴走族。

 

トゥーカッターにアイスを舐められ,隙をみて股間に蹴りをいれ逃げました。

子分がルーフキャリアに鎖を投げつけましたが逃げました。

 

 

目的地の農園(?)に到着しましたが,犬が吠えるので見たら,ルーフキャリアから鎖にぶら下がる血まみれのちぎれた腕。

暴行族の報復を予想させます。

 

農園でつかの間の安らぎ。

ジェシーは犬と海へ行きますが,普通は子供を置いては出かけませんね。

映画ですから目をつぶります。

犬がいないことに気づき,林を抜けて戻りますが,誰かにつけられました。カラスが不安を煽ります。

 

マックスと合流,マックスが銃を持って見回りに行き,ジェシーはほっと一息つきます。

ここで子供のことを思い出しましたが,遅い。

暴走族の手の中に子供。

 

農園の主の老婆が銃でおどして子供を取り返し,小屋に閉じこめ,車で逃げました

 

でも簡単に小屋のドアを破壊して追いかけてきます。

運の悪いことに車は煙をだして止まってしまいました。ジェシーは子を抱いて逃げましたが,族が追いつきました。

靴とボールだけが映し出され,これだけでどうなったかわかります。

 

 

ジェシー:無数の外傷,脾臓,肝臓,肺,胸部打撲,大腿骨骨折,腎外傷・・・

子供はダメだった,と話している医療関係者の話を呆然と聞いているマックス。

 

親友のグースを殺され,愛する妻と我が子を失い,やり場のない怒り。

マックスはしまっておいたレザースーツを取り出しました。

マックスの戦闘服ですね。V8の車を無断でもちだし,トゥーカッターらを探しました。

 

族のバイクに真っ向から立ち向かい,彼らは川に落ちたり,事故ったり。

 

トゥーカッターのヘルメットにグース,ジェシーの写真を残し,宣戦布告します。

 

 

大きなトラックを抜き去り進入禁止地区に入ると転倒したバイク。

確かめに行くマックス

 

これが罠でした。マックスは足を撃たれ,腕をバイクで轢かれました。

 

 

トゥーカッターの右腕,ババが,とどめを指しにマックスに向かいましたが,危機一髪ババを撃ち抜きました。

 

瀕死の重傷を負いながらも執拗にトゥーカッターのバイクをつけていくマックス,最後はトゥーカッターのバイクが大型トラックに正面衝突しました。あんなにピッタリくっついていたのにマックスの乗っていたインターセプターは無傷なんだよね。

 

 

そしてもう一人残っていた残党,ジョニー。足首と転倒した車を手錠でつなぎ,時間が経つとガソリンに火がつくように細工しました。「手錠は超硬度スティール製,切断には10分はかかる,足首を切るには5分ですむ」と言ってのこぎりを渡しました。

強烈な復讐劇ですね。

でも5分も経たないうちに爆発していました。

 

 

この映画はオーストラリア映画です。しかも思いっきりB級映画。

監督のジョージ・ミラーをはじめ主演のメル・ギブソンもほとんどデビュー作のようなものです。

予算も35万オーストラリアドル(たぶん30万米ドルくらい)と超低価格でしたが,興行収入は1億米ドルくらいのスマッシュヒットです。

こういった低予算で世界的に大ヒットした映画はほかにもイージー・ライダー(1969)が製作費40万ドルに対して興行収入6,

000万ドル,ロッキー(1976)が製作費100万ドルに対して興行収入2億2500万ドルなどがあります。

マックスらが着ているレザースーツ,本物の革製は1着のみで他の衣装はビニール製でした。

また廃車パトカーが映画に使用されたり,一部のスタッフは自分の車を持ちこんで撮影に使用したようです。

バイクもカワサキから貸し出されたようですが,10台のバイクZ1000で完全な状態で返却されたのはわずか3台でした。

暴走族のエキストラの多くは実際のオーストラリアのアウトローバイククラブのメンバーで,映画では自分たちのバイクに乗っていました。予算の都合で空輸ができなかったためシドニーの自宅からメルボルンの撮影現場までバイクで移動せざるを得ませんでした。シドニー,メルボルンって隣の街かと思ったらその距離は880km。

Google Mapによると,車で東京から四国,高知県四万十市までの距離です。

またほとんどのエキストラの出演料がビールで支払われたのみです。

 

監督のジョージ・ミラーはアメリカのもっとネームバリューのある俳優を使いたかったようですがこれも予算の関係で断念,無名だった演劇学生だったメル・ギブソンを起用しています。出演料はわずかに1万ドル。ちなみV8インターセプターのお値段は35,000ドル以上でそうです。

 

低予算ではありますが,出演者の役作りも様になっていたと思います。

特に暴走族

まず,トゥーカッター

蓬髪で恐ろしい風貌,毛皮をまとっており,いかにも粗野で狂気じみている雰囲気が出ていますね。この俳優はマッドマックス 怒りのデス・ロード(2015)でイモータン・ジョーの役も演じています。

トゥーカッターの右腕っていう感じのババ,トゥーカッターと違っていい男できれいな感じですが,バカなことはやらない冷静なキャラですね。しかしブリーチした髪の見た目が危ない筋の人と見られて,銀行での小切手現金化を拒否されたそうです。

 

 

音楽担当はブライアン・メイです。クイーンのギタリストブライアン・メイは同姓同名の別人です。

ちょっと驚きました。

 

近代映画社SCREEN誌,執筆者が選ぶベスト10では52位,読者が選ぶベスト10でも17位でした。

マッドマックスシリーズでもこの映画はかなり地味なスタートだったということですね。

 

 

① ジョージ・ミラー

最初の実習で救急部門で働いた医師でした。マッドマックスの最初のインスピレーションは救急外来に多くの若者がバイク事故で致命傷を負うのを見てきた経験から来ています。大きなバイクがたくさん販売されていた時期でもあり,これらのバイクが「ドナーモービル」と呼んでいたそうです。ドナー=臓器提供者です。本人も学生時代はバイク乗りでしたが,バイクは手放したそうです。

この映画の撮影が終わる頃,この映画は失敗作だと思っていたようです。いろいろな国々が配給権を取得し始め,日本では侍映画を作ったと言われ。スカンジナビアでは現代のバイキング映画だいわれ,普遍的な原型やテーマに触れていることに気づいたと語っています。

その後のマッドマックスシリーズ全ての監督をしています。

マッドマックス      300,000$(AUD   350,000)

マッドマックス2   3,500,000$(AUD 4,000,000)

サンダードーム    10,000,000$

怒りのデス・ロード 150,000,000$ 

フュリオサ         168,000,000$ 

どんどん製作費は大きくなっていますね。興業収入も当然大きくなってます。

特にマッドマックス怒りのデス・ロード(2015)はかなり評価が高くアカデミー賞作品賞,監督賞にノミネートされ,編集賞,美術賞など6部門で受賞しています。