ウォルフガング・ペーターゼン監督

 

アフリカ奥地で発生したウィルスがアメリカに持ち込まれ,ある町で急激に広がります。

致死率100%のウィルスであり,町を隔離して一掃しようとする軍と感染源を特定して治療しようとする医師たちのお話

 

エアフォース・ワン(1997)とはウォルフガング・ペーターゼンつながりです。

 

 

アフリカ,ザイール(現在のコンゴ民主共和国)モターバ川,1967年

内戦が続いており,傷病兵を並べた小屋にヘリ到着。乗組員は防護服を着ていました。

銃などの外傷ではなく,熱病で死者が出ているようです。患者から血液を採取して,不足している物資を聞きとり,19時までに投下すると約束して帰って行きましたが,投下されたのは物資ではなく,爆弾。爆弾

ウソつきびっくりマーク 村は全滅。

 

防護服で誰が話しているのか顔は見えませんが,後の少将,准将になる,マクリントック(ドナルド・サザーランド)とビリー・フォード(モーガン・フリーマン)でした。

 

現在に画面が移り,USAMRIID(アメリカ陸軍感染症医学研究所)が映し出されます。

まずBiosafety Level(バイオセーフティレベル)の説明ですね

  • BSL-1:ほぼ無害な微生物。常在菌が対象です。レンサ球菌,サルモネラ菌など
  • BSL-2:一般的な感染症(軽〜中等度),インフルエンザなど
  • BSL-3:重篤な感染症(空気感染の可能性あり),炭疽菌,チフス,エイズ
  • BSL-4:極めて危険な微生物,エボラ出血熱など
サム・ダニエルズ大佐(ダスティン・ホフマン)はBSL-4の責任者です。
自宅で犬のシャンプーをしているとアフリカ,ザイールでの出血を伴う熱病発生の知らせです。
アフリカまで出張しなければならず,犬の世話を別れた奥さんロビー・キーオ(レネ・ルッソ)にお願いします。
 
彼女はアメリカ疾病予防管理センター(CDC①  )に就職予定です。
サムは離婚しても,まだロビーに未練たっぷり。
 

 

サムはケイシー・シュラー中佐(ケヴィン・スペイシー),ソルト少佐(キューバ・グッディング・Jr)と行動をともにします。

 

感染すると2-3日で死亡する恐るべき伝染病。

村を出ても,となり村までジャングルの中,歩いて80kmもあるので途中で死亡。広がることはないだろうと。

しかし感染源は不明でした。

 

一方,意味ありげに一匹のサルが捕獲され船で送られる映像が映し出されました。

サルは船便でどこかに運ばれます。

 

 

サムがシュラー中佐とともに防護服を着て微生物を扱っている部屋に入りますが,サムの服が破損していました。

後にこのエピソードと似たようなことが起こりますが,その布石のようなものですね。

ウィルスが爆発的スピードで広がることを確認し,サムは警告通達を出すべきと主張します。

 

 

フォード准将は秘密裡に1967年のモターバでのウイルスと同一であることを確認し,上司であるマクリントック少将に報告します。

するとサム・ダニエルズをチームから外すように指示がありました。

サムはこれには納得がいきません

 

 

一方,船便で送られたサルはカリフォルニアの実験動物検疫所に送られましたが,研究員のジンボーが違法に持ちだしました。

 

ペットショップに売り飛ばそうとしましたが,それがかなわずサルは近くの森にリリースされました。

 

 

このサルがこれから始るアウトブレイクの保菌者であり,最初に接触したジンボーを介してかかわったいろんなヒトたちに伝播していきました。

 

まず,ジンボーの居住地ボストンに熱病が発生したという連絡が入り,CDCのロビーはジンボーに面会。

動物に接触したか聞き出そうとしましたがジンボーはその場で死亡。

 

解剖すると臓器が融解していました。

潜伏期が非常に短いため,24時間以内に感染者が出なければ問題ないと考え,収束したかにみえました。

 

しかしそんなに簡単に終わらないのがこの映画。

そして感染者の検体を扱った検査技師が映画館で咳をして集団発生。

 

サムはそこに派遣してくれとフォードに懇願したが許可がおりません。

命令を無視して現場(シーダー・クリークという町)に駆けつけました。

 

 

マクリントック少将はSweep作戦(ザイールでの村を焼き払った作戦)の準備を指示します。

シーダー・クリークに軍が侵入し,鉄条網で外部との接触を遮断しました。

 

ロビーらCDC医師団が到着し,サム・ダニエルズと会います。

 

フォード准将も到着し,ダニエルズの逮捕を命じました。

モターバ熱はもともと接触感染するウィルスでしたが,空気感染する変異株になっていました。

 

 

患者を完全隔離して,全住民に外出禁止令。町を出ようと,強行突破を試みた住民はヘリで攻撃されました。

住民は家にこもり,体調不良の場合は白いタオルで合図

発熱などの有症状のヒトは一所に集められました。

 

採血して顕微鏡でウィルス感染したかどうかを確認していましたが,ちょっとこれはウソくさい。

ウィルスは電子顕微鏡でなければ姿を見ることはできず,普通の顕微鏡では見えるはずもありません。

 

 

寝ないで仕事をしてみなフラフラ。シュラー中佐は不注意から防護服が破けました。

まずいぞビックリマーク

予想通りの結果になりました。

 

シュラー中佐,発病

 

採血時の際の針刺し事故で,ロビーも感染。

 

一方,ホワイトハウスではマクリントック少将がウィルスの危険性を強調します。

2600人の住民のいるシーダー・クリークに気化爆弾を投下して1.6km以内の人やウィルスを気化させるというSweep作戦を提言。

幹部たちは、2600人の住民を犠牲にすることへのジレンマはありましたが受け入れました。

 

 

そのころ,サムは E-1011抗血清を投与したサルが回復したことを確認しました。

E-1011はアフリカンモターバ用に作られた抗血清であり,軍が隠蔽していたとダニエルズはフォードを責めます。

 

軍の方針だ。20:00,爆弾投下は大統領命令だと言われました。

 

 

ここからがダニエルズの活躍

ソルト少佐とともにヘリを盗んでジンボーの足跡をたどり,サルを輸送した船にたどり着き,サルの写真を手に入れます。

そしてテレビ局に乱入して,サルの写真を放送で流して情報提供を呼びかけます。

 

パリセーズという場所からの情報でサルを発見。おびき出して麻酔銃。宿主発見。

 

 

サムはフォード准将に爆撃中止を要請しましたが,マクリントック少将はあくまでもSweep作戦にこだわり,サムの乗ったヘリに近づき,基地に帰れと命令しました。

サムの返事 "Fuck You, Sir" イイですね,この返事,軍人らしく見かけ上敬いつつ "Fuck You"。映画ならではですね。

 

 

サルから抗原を抽出し,E-1011を元に新しい抗血清を作成。

ロビーに投与しました。心配ないと言って,サムはヘルメットを脱ぎ捨てました。

命をかけた行動ですが,これはやちゃいけない行為ですね。

 

サムはSweep作戦の爆撃機が来ることを知りヘリに乗り込み,直接操縦士と交信。中止しろ。

自分たちのうそを隠すために住民を殺すのか。

爆撃機の操縦士も命令に従うべきなのかどうか,迷いますね。

 

サムの乗ったヘリは爆撃機に進路を譲りません。

結局爆弾は海に投下されました。風で流されたようですと報告。

 

マクリントック少将は結局逮捕されました。

 

サム  「もう一度僕と暮らす?」

ロビー 「そうね。免疫もできたことだし・・」

 

 

 

この映画は,コロナウイルスのパンデミックを受けて,視聴する人が増え,Netflixでトップ10に人気映画リストに入りました。

 

ほかにも,ウィルスが関係した映画はたくさんありますが,ウィルスと直接対峙していく映画はコンテイジョン(2011)が有名ですね。コンテイジョン(2011)は未見だったのでボクもコロナ禍のタイミングでDVDを借りて見ました。

この映画ではCDCとWHOの職員が危険を顧みずに治療に立ち向かう姿が印象的でした。

 

「アウトブレイク」ではWHOが全く登場しないのが不思議です。

国際的な感染というよりアメリカ国内の感染だったことが関係しているのでしょうか。

 

「アウトブレイク」を最初に見た頃は,この映画の内容は全く対岸の火事でした。

しかし実際にコロナが蔓延して志村けんといった,たくさんのヒトが亡くなると,恐ろしくなってきますね。

この映画が製作された頃はエボラ出血熱というかなり死亡率の高いウイルス感染が話題になった頃です。

 

歴史的に見ても中世(14世紀)のペスト(黒死病)の死者数は世界で約7,500万〜2億人と想像できないくらいの数です。

ペストはウイルス感染ではなく細菌感染で,BSL-3止まりです。細菌感染ですから抗生物質が有効です。

またスペイン熱(1918年頃)の死者数は世界で約5,000万〜1億人とこれも多い死者数です。

スペイン熱とはインフルエンザのことですが,侮れないですね。

 

コロナウイルスでの死者も2000~3000万くらいはいたようです。

しかし,発症からワクチンができるまでは結構かかったぞ。

「アウトブレイク」のように宿主を見つけたらそこから抗血清を作って瞬く間に治療するなんてことはできませんでした。

「アウトブレイク」はやっぱり都合のイイ映画ですね。

 

感染したロビーの前でサムはヘルメットを脱ぎます。

ワクチンを打ったから大丈夫だってところを見せていますが,ボクはコロナのワクチン4~5回打ったけどコロナになりましたから。でも死にはしませんでした。

 

現在もオランダ船籍の船に発生したハンタウイルス② が話題になっていますね。

 

 

 

映画で宿主として紹介されたサルは,実際にはザイールにいるサルではなく中南米のサオマキザル (tufted capuchin) だそうです。

賢いサルで,サーカスなどでも芸を披露する種のようで,映画の中で網にかかって捕まる場面でも,ゲームの一部だと教えられていたようです。

 

この映画,けっこうな豪華キャストですが,案外評価は低く,アカデミー賞にはどの部門にもノミネートされていません。

モーガン・フリーマンとケヴィン・スペイシーとは同年の映画セブン(1995)でも共演していました。

ケヴィン・スペイシーはさらにこの年のユージュアル・サスペクツ(1995)でアカデミー賞助演男優賞を受賞しています。

3つ映画出演かけもちってスゴイですね。

 

近代映画社SCREEN誌の執筆者の選ぶベストテンには全く選ばれていなく,読書のベストテンでも22位という評価の低さでした。

コロナ禍後にこの映画を見ればもう少し評価が高かったのかもしれません。

それにしても宿主の発見でめでたしめでたしというお気軽な解決がちょっと軽薄に見えたのでしょうか。

 

 

 

①  CDC

アメリカ疾病予防管理センター(Centers for Disease Control and Prevention)

アメリカの保健福祉省の部門です。

 

名前は「疾病予防」ですが,感染症対策が最も有名です。

いろんなガイドラインが出ていて,医療の世界ではCDCのガイドラインを遵守しているようです。

 

② ハンタウイルス

ネズミの排せつ物を介するウイルス感染で,「アウトブレイク」でもエボラ,ラッサと並んでBSL-4の非常に危険なウィルスとして紹介されていました。

ですが実際にはBSL-3止まりです。

ハンタウイルスが見つかったきっかけは朝鮮戦争です。

1951年,北緯38度線周辺の朝鮮半島で原因不明の腎性出血熱が多発しました。

当時は「韓国出血熱」と呼ばれていたらしいですが,高麗大学の李 鎬汪(イ・ホワン)教授がウイルスの同定・分離に成功し,発生地帯だった漢灘江(ハンタンガン)にちなんで「ハンターンウイルス」と名付けました。

野戦陣地・塹壕に入り込んだネズミの排せつ物の乾燥粉塵を吸い込み発症したらしいです。