前回に続き、小学1年生の男児が信号の現示が『赤』から『青』に直ぐに変わると思い違いをしていたため、交差側の信号機が黄色に変わった瞬間、自分が対面する信号は『青色』に変わったものと勘違いして、赤信号なのに横断を開始して走り出し、第一車線と第二車線は無事に通過したのですが、第三車線を走る乗用車の左側面に衝突する人身事故が発生したのです。幸い、車の方も気付き、停止と同時に衝突し、打撲傷で済んだのですが、こうした事故の場合に先ず考えるのは信号の灯火時間と子供の走る速度、加害車両の速度との関係なのですが、母親が、「すみません。今日学校で交通安全教室があって信号の変わり方を学んできたのですが、交差道路の信号が黄色になると自分が対面する信号が『青色』になることを教わり、交差道路側が『黄色』になったので、直ぐに自分の方の信号が『青色』になると思って走り出したと思います。」と、自身の監督不行き届きも含めて謝ったが為、相手方加害運転手と担当警察官とも、事故の主たる原因は子供の信号無視として処理を進めてしまいました。私は、できあがった書類を点検し、最初に担当者に質問したのは「この子供はSF漫画のように瞬間移動できるのか?」ということです。この質問の意図が理解できなかったようなので、「交差する側の加害車両の運転手の行動も考えて事件処理をするよう具体的に指示しました。

 つまり、最初に考えるべきは信号現示の時間で、青信号の灯火時間は、各交差点の規模と交通事情によって灯火時間に違いがありますが、黄色灯火は『4秒』、全信号赤色は『2秒(但し、右折矢印信号がある場合は、それ以上)』の合計6秒が全国共通です。

 次に目を向けるのは、子供が信号待ちをしていた位置から衝突地点までの距離を何秒で走ったかということです。それに関しては6歳の子供の走る速度を『おおよそ2メートル/秒』と仮定し、衝突地点まで、先ず、交差道路側の信号が黄色灯火になって、自身が対面する信号が『青色』になると思って走り出すまでの反応に「約1秒」、走り始め道路に出るまで約2メートル、道路に出たところに幅約1メートルの外側部分があり、続いて幅3メートルの第一車線、第二車線と続き、第三車線に入って約0.5メートルの地点で相手車両と衝突したと考えれば、被害者の子供は合計約『2+1+3+3+0.5=9.5メートルの距離』、約10メートルほど走った地点(約5秒)と、最初のスタートに要した1秒を加えると、交差道路側の信号が青に変わってから6秒の時間を要し、しかも、横断歩道上でで衝突したことになります。

 そうなると、被害者の子供が交差道路側の信号が『黄色』に変わったとき、加害車両がどの地点を走行していたかというと、約40㎞/hで走っていたとすれば、秒速12メートルで、✕6秒の『約70メートル』の地点で信号が黄色に変わったのを観ているはずで、実際、信号が黄色に変わって直ぐに子供が横断を開始したにもかかわらず、第一車線と第二車線の車両は停止線手前で停止していたので、再度、加害運転手等事故関係者に出頭を求め、加害車両の運転者の信号無視も含めて取調べの仕直しをしたところ、加害者側も、「このような結末で良かったのか?」との思いもあり、再捜査してもらってすっきりした。と言っていました。