警部合格に伴って入校した『警部任用科』で優等賞を取ったことで、その年の暮れに副署長に呼ばれ、「年明け直ぐに『教官養成科』で警察大学に入校の辞令が出た。これは、来春、近畿警察学校の教官として異動する内示だから。」と言われました。私は、巡査部長に昇任したときは淡路島、警部補に昇任したときは山陰の豊岡市、警部になって、やっと近隣の西宮市での職場で安心してたところに、「なんで、大阪の堺市まで、片道1時間以上かけて通勤せなあかんの?」と思ったこともあったのですが、まあ、毎日、家族の元に帰れるから良し、としようと考え直し、辞令を受けることにしました。

 私が近畿管区警察学校の教官をやりたくなかった理由は、通勤時間が長くかかるという他に、高校卒業で警察官になった身としては、大学で法律を学び、警察官となった年下の生徒達に偉そうに授業ができるか、どうか自分自身に疑問があって、そのような身分では無いと思ったからです。しかし、何事も経験、やる前から白旗を掲げるのも悔しいし、なんとか頑張って乗り切ろうと「警察学校の教官稼業」をする決意をしました。

 その上、いざ、教官をやってみると、逆に教えられることもあり、2年間という決められた期間でしたが、充実した、楽しい経験でした。

 一番記憶に残っているのは、教官稼業2年目の明日から休みという金曜日の午後、大阪府警の生徒に呼び止められ、「奈良県警の刑事教官の授業で、その教官から、『原付車の二人乗りを現認し、停止させた。運転者は『定員外乗車』の違反で検挙できるけど、後ろに乗ってる奴は検挙できないって聞いたけど、何でや?』と、質問されました。何でですか。」と、質問されたのです。交通指導(違反)の授業は大阪府警の教官の担当なので、「そっちに聞けば…」と思ったのですが、生徒の真剣さから「週明けまで時間をくれ。」と言って、自宅に帰ってから巡査部長試験の時に勉強のために購入した元検事の伊藤真氏の『刑法』について解説した参考書を探し、それを読み返しました。その中から、必要的共犯とは、2人以上の者によって実現されることが予定されている犯罪で、それには

 ① 『内乱罪、凶器準備集合罪』など、2人以上の不特定の者の集団による犯罪(集団犯)

 ② 『贈・収賄罪、わいせつ図画販売』など、2人以上の行為者の行為が対向する犯罪(対向犯)

がある。この中で、対向犯のわいせつ図画販売材においては、買主(客)から「売ってくれ。」と申し込まれる場合がある。そうした申し込みがあることは予想されるのに、買主を処罰する規定がありません。それは、わいせつ図画を欲しがる買主(客)が売ってくれと申し込みがあることは予想される。こうした買主がいることは「当然予想される」もので、買主を処罰する規定は無い。故に、原付車に二人乗りをしても、同乗者を処罰する規定が無く、運転者のみ検挙されます。道路交通法も、こうした点に注意しておく必要がありますので、犯罪における必要的共犯の「集団犯」と「対向犯」処理の違いには注意して処理すべきです。。

 必要的共犯の