~ 第4巻「帰還」 ~
ゲドの故郷であるゴント島で、テナーは農園を営み暮らしていた。
既に子供達は家を離れ、夫には先立たれていたが、火傷で障害をもつ幼い少女テルーを養女にしていた。
ある日、テナーの元に、ゲドの師匠オジオンの臨終の知らせがあった。
すぐに彼女はテルーを伴い、オジオンの元に駆け付けた。
かつてゲドと共に闇から逃れたテナーは、家庭を持つ前、オジオンの許にいたのだ。
オジオンが亡くなり、悲しみがまだ冷めやらない中、テナーは遠くの空に鳥を見た。
しかし、それは鳥ではなく、竜だった。
真っ直ぐこちらに向かっている。
そして、竜はテナーの側に着地した。
その背中には、死んだようなゲドの姿が…。
当初「ゲド戦記」は全3巻で完結していました。
しかし、なんと18年後に、作者は続編を出したのです。
それがこの第4巻「帰還」です。
その後のゲド、テナー、アレンが語られ、そして、新たな登場人物テルーが現れました。
3巻までは、観念的な思想で、テーマが大き過ぎる嫌いがありましたが、18年と言う長い時間が変化をもたらしたのかも知れません。
この第4巻では「女性」にスポットが当てられています。
一方、「魔法」は「男性の力」として描かれ、「知性」や「合理性」について疑問を投げかけているように思えます。
では「女性がもつ力」とは何か?
いや、女性だけがもつものではなく、人間に深く根差した大切なことを作者は訴えているようです。
また、この巻から「竜」について語りはじめました。
この物語の世界、アースシーにおける人間と竜の関係を語ることで、人間の本質を伝えています。
そして、それらのメッセージは、最後の第6巻で劇的な完結に向かうのです。
ではまた。