皆さんおはようございます
昨日はビッグニュースがありましたね
来年春にオープン予定の東京ディズニーシーの新エリア、ファンタジースプリングスについての詳しい情報が発表されました
(以下にリンクを貼った公式HPから引用させていただきました)
詳しくは公式サイトの特設ページをご覧いただければと思いますが、ディズニー映画『アナと雪の女王』、『ピーター・パン』、『塔の上のラプンツェル』の世界をテーマとしたエリアに新しいアトラクションやレストランがたくさんオープンするようで、とても楽しみです
そして、この新エリアに新しく開業するディズニーホテルが「東京ディズニーシー・ファンタジースプリングスホテル」です。
ホテルミラコスタと同じく、パークと一体型のホテルですが、ランクは最上級の「ラグジュアリークラス」となるようで、滞在体験がどんなものになるのか、こちらも非常に楽しみ
ところで、ホテルでの滞在体験に欠かせない要素の一つが食事。
このファンタジースプリングスホテルにも3つのレストランがオープン予定。
・ブッフェレストランの「ファンタジースプリングス・レストラン」
・開放感のある大きな窓が特徴的なロビーラウンジ「グランパラディ」
に加え、なんと最高級のグランドシャトー棟の宿泊ゲストだけが入店できるフレンチレストラン
・「ラ・リベリュール」
がオープン予定なんだそうです。
ロビーラウンジの「グラン・パラディ」はフランス語で"Grand Paradis"、英語では"great heaven"という意味ですから、「壮大な天国」といったところでしょうか。
「開放感のある大きな窓」というキーワードはホテルミラコスタのベッラヴィスタ・ラウンジを彷彿とさせます。
これに対し、グランドシャトー宿泊ゲストだけが訪れることのできる「ラ・リベリュール」の方は、まさに東京ディズニーリゾート最高級のレストランと言って良いと思いますが、その名前"La Libellule"はなんと「トンボ」という意味のフランス語です。
「壮大な天国」を上回る最高級のレストランの名前が「トンボ」…
と驚かれる方も多いのではないでしょうか
公式HPでは各レストランの名前について詳しい説明が無いので、以下は私の個人的な憶測ですが、この名前はホテルの装飾様式と、ファンタジースプリングスホテルが日本に造られることに対する深い思いが込められているのではないかと思っています。
ファンタジースプリングスホテルの装飾様式は「アール・ヌーヴォー」。
これは19世紀末から20世紀初頭にフランスで発祥した様式で、草花など自然物をモチーフとした自由な曲線でデザインされた装飾に特徴を持つ様式です。
ディズニーランドパリのウォルト・ディズニー・スタジオにオープン予定の『アナと雪の女王』をテーマとした新エリアに開業予定のレストランもアール・ヌーヴォー様式となるので、過去に記事にしています。
草花などの自然物がモチーフの装飾様式ですので、昆虫などのオブジェとも相性が良いのはもちろんなんですが、それだけでは最高級のレストランの名前となるには、理由としては迫力不足…という感じがするかも知れません。
しかし、注目すべきなのは、このアール・ヌーヴォーの旗手とも言うべきデザイナーが、トンボをモチーフにした作品を数多く残している点です。
そのデザイナーの名前は、エミール・ガレ(Émile Gallé, 1846-1904)。
もともと欧米ではトンボは決して縁起の良い昆虫とはみなされていなかったので、調度品や建築物の装飾のモチーフとしてトンボが使われる伝統は無かったはずです。
ではなぜエミール・ガレがトンボをモチーフとした作品を数多く残したのかと言うと、それは日本美術の影響なんです。
近代西洋美術に対する日本美術の影響の大きさについては、20世紀初頭のアメリカの町をテーマとするワールドバザールに「れすとらん北齋」というレストランがあることにも表れていて、その点については以下の過去記事で触れたところです。
エミール・ガレも葛飾北斎をはじめとする日本の芸術家の影響を受けた一人。
北斎漫画における生き生きとした昆虫の描写に感銘を受けた彼は、ただちにこれらをガラス工芸などの装飾に応用していきます。
(北斎漫画に掲載のイラストは山口県立萩美術館HPにたくさん掲載されています)
とりわけ、このニューヨークのコーニング・ガラス美術館が所蔵する1903年の作品
その名もズバリ"La Libellule"なんです
最高級のレストランに「トンボ」とは一見奇妙なネーミングですが、日本のディズニーリゾートにオープンするアール・ヌーヴォー様式のレストランの最高級レストランに、日本美術に大きな影響を受けたアール・ヌーヴォーの巨匠の代表作品の名前を付けるなんて、深い思い入れを感じませんか