今日も遊びに来てくださってありがとうございます
東京ディズニーシーのアメリカンウォーターフロント、ニューヨークエリアにあるホットドッグスタンド、デランシー・ケータリングが3月から営業再開していますね
(写真は公式HPより転載)
ワンコイン(450円)で軽食を買うことができる使い勝手の良いお店です
ところで、アメリカンウォーターフロントがテーマとするのは1910年代初めのニューヨーク。
ニューヨークを象徴するスナックフードとも言えるホットドッグですが、一体いつ頃から存在していたのでしょうか
ありがたいことに、ニューヨーク市立博物館のブログに、ホットドッグの歴史について書かれた記事があります。
この記事によると、1871年にドイツ系移民のチャールズ・フェルトマン(Charles Feltman)なる人物が、コニーアイランドに構えた店舗で1年に3,000個のホットドッグを売ったのが、ニューヨークにおけるホットドッグ・スタンドの始まりのようです。
コニーアイランド(Coney Island)というのは、ニューヨーク市のブルックリン地区の西南部にある海岸地帯で、19世紀後半にリゾート地として開発された場所です。
このブログでも、デイズニーランドパリのメインストリートUSAにある、ボードウォーク・キャンディパレスというショップが、コニーアイランドのようなリゾート地のお土産屋さんをモチーフにしていることをご紹介したことがあります。
さて、このチャールズ・フェルトマンが開いたコニーアイランドのホットドッグ屋さんですが、ほどなく彼の下で働いていたネイサン・ハンドワーカー(Nathan Handwerker, 1892-1974)というポーランド出身の移民に買い取られます。
ネイサン・ハンドワーカーがニューヨークにやって来たのが1912年ということですから、ちょうどディズニーシーのニューヨークエリアの港に停泊しているSSコロンビア号が処女航海に出る頃ですね
ネイサン・ハンドワーカーが買い取ったホットドッグ屋は、コニーアイランド付近まで地下鉄が延伸されるなど、交通網の発達とも相まって急成長を遂げ、1920年の夏には毎週末に75,000個ものホットドッグを売るようになったのだとか。
ちなみに、毎年7月4日のアメリカ合衆国の独立記念日にニューヨークで開催されるホットドッグの早食い大会ですが、この大会の起源も、ネイサン・ハンドワーカーのホットドッグ屋さん。
4人の移民が1916年7月4日の独立記念日に、ホットドッグの早食いで愛国心ナンバー1を決めるという「決闘」を開いたのが始まりと言われています。
ニューヨークでホットドッグが定番スナックとして定着していく一方で、1893年のシカゴ万博でもホットドッグが売り出され、ホットドッグ人気をアメリカ全土へと広めるのに一役買ったようです。
シカゴ万博と言えば、パリ万博でお披露目されたエッフェル塔に対抗して、大観覧車が作られた万博です。
確かに、ソーセージをミルクロールに挟んで片手で食べるというのは、数々の展示を見て回る合間に摂る軽食としては最適なスタイルです。
別の過去記事では、1904年のセントルイス万博でアイスクリームのお皿代わりにアイスクリームコーンが発明されたという話をご紹介しましたが、万国博覧会というのは、スナックフードの一大ブームを生み出すイベントなのかも知れませんね
このように、独立記念日の早食い大会で世界的に有名なニューヨークのホットドッグですが、その人気はアメリカ全土で同時進行的に高まった歴史があり、必ずしもニューヨーク発祥というわけでも無さそうです。
それもそのはず、ホットドッグに使われるフランクフルト・ソーセージは、早くも15世紀後半にはドイツに登場し、ソーセージをパンで挟んで食べるスタイルも、ドイツ系の移民がアメリカに持ち込んだものと考えられているようです。
(参考資料:全米ホットドッグ・ソーセージ協議会)
後発移民のドイツ系移民の波が押し寄せたのは、1848年にヨーロッパ各地で起きた革命の後、ドイツの領邦国家の政治体制の動揺により多くの人が職を失ったり、政治的迫害を受けた19世紀半ば以降。
1848年革命をきっかけにアメリカにやって来たドイツ系移民は「フォーティーエイターズ」(48ers)と呼ばれているほどです。
これを踏まえると、1871年にニューヨークで最初のホットドッグ・スタンドが登場し、1893年のシカゴ万博でホットドッグが一躍人気のスナックフードとなったことも、時系列的に辻褄が合います。
また、「ホットドッグ」という食べ物の名前の由来も、ドイツと深い関係があるようです。
ホットドッグに使われる細長いフランクフルト・ソーセージは、アメリカでは、同じくドイツ系移民が持ち込んだ細長い胴体の犬に因んで
「ダックスフンド・ソーセージ」(dachshund sausage)
と呼ばれていました。
確かに、ダックスフンドの細長い胴体は、ホットドッグのソーセージに似ています。
このダックスフンド・ソーセージがアツアツに調理された状態で提供されたことから、「ホットドッグ」と呼ばれるようになったのだとか。
さて、我らがデランシー・ケータリングのトラックには、
"PRIZE WINNING"(賞を受賞した)
"NEW YORK CITY'S FINEST HOT DOGS"(ニューヨーク市で最高のホットドッグ)
"FIRST-RATE FLAVOR"(1等級の味)
といった宣伝文句が書かれてあります。
右上には
"FAMOUS THROUGHOUT FIVE BOROUGHS!"
と書かれてありますが、この意味はお分かりになりますでしょうか
「ボロー」("borough")というのは、ニューヨーク市の行政区のこと。
1898年に、マンハッタン(Manhattan)、ブルックリン(Brooklyn)、クイーンズ(Queens)、ブロンクス(Bronx)、スタテンアイランド(Staten Island)の5つの行政区が設置されました。
デランシー・ケータリングという名前からして、マンハッタン区のロウアー・イースト・サイド(Lower East Side)にあるデランシー通り(Delancey Street)にお店を構えているのだと思いますが、その名声はマンハッタン区にとどまらず、ニューヨーク市の全ての行政区にまで響き渡っているようです
コチラがその、ニューヨークでナンバーワンというホットドッグ🌭
ニューヨーカーになった気分で、勢いよく頬張りましょう