先週、喪服を取りに生家に行ったら、はす向かいの小さな工場が取り壊されて、さら地になっていた。
羽振りのいい頃には社員旅行にも行っていたと母が話す。
私と姉と連れだって、小学校への登校の道、いつも、弁当箱を小脇に抱えた、ひょろっとしたおじさんが歩いてくるのとすれ違った。 はす向かいの工場で働いているおじさんだったから、顔がわかったのだ。 あちらは気づいていたかどうか。
そのおじさんは、いつも決まった時間に歩いてくる。 正確だった。 私と姉と、家を出るのが遅くなれば、家に近い途上で出会った。 私と姉は、彼のことを “遅刻時計” と呼んでいた。
あれから40年だもんなあ。
おじさんも、けむりになったんじゃないだろうか。
サツマイモの葉っぱ。 いもっぱ。 まさしくスペードの形。
と、言うより、ハートだよね。
こういうのにばったり会うと、“天使のウインク”、と思うんだ。