◆第001位 『アンチヒーロー』

 評価:090点/脚本:山本奈奈/TBS/日曜21時/出演:長谷川博己・北村匠海・堀田真由・木村佳乃・野村萬斎/全10話/平均視聴率:10.8%

 

 有罪率99.9%と言われる、日本の刑事裁判において、被疑者の証拠が、完全に揃っているが、無罪を獲得する、「アンチ」な弁護士の姿を描くことで、「正義の反対は、本当に悪なのだろうか」を問いかける、リーガルドラマ。

 本作は、物語中盤まで、四つの事件の弁護を行うが、実は、全ては、2012年の糸井一家殺人事件に繋がっている、連続サスペンスである。

 明墨法律事務所の代表、明墨正樹を演じるのは、長谷川博己。

 元検事で、五年前、弁護士に転身した。犯罪者の証拠が揃っていても、無罪を勝ち取る、「アンチヒーロー」である。

 十二年前、検事の時代、糸井一家殺人事件で、応援要請を受け、志水を自白させた、張本人。

 その後、同期の検事、桃瀬から、志水は、冤罪であると聞かされ、自分の過ちを正すため、弁護士になった。

 明墨法律事務所の弁護士、赤峰柊斗を演じるのは、北村匠海。

 過去に、富田正一郎が、友人の松永理人に濡れ衣を着せた、事件の弁護をしたが、敗訴した。

 明墨が、富田を弁護すると聞き、松永の冤罪を再審に持ち込むために、明墨法律事務所に移籍する。

 物語序盤は、犯罪者であると知っていた、緋山を無罪にした、明墨に疑念を抱いていた。

 明墨法律事務所の弁護士、紫ノ宮飛鳥を演じるのは、堀田真由。

 刑事の倉田功の娘。

 六年前、司法研修終了後、父と言い争っていた、明墨から、正式雇用を誘われると、糸井一家殺人事件の捜査に関わり、人が変わった、父のことを知るため、明墨法律事務所に入所する。

 明墨法律事務所のパラリーガル、青山憲治を演じるのは、林泰文。

 明墨の腹心と言える存在で、明墨が、糸井一家殺人事件を調査していることを、唯一、知っていた。

 桃瀬の大学時代の後輩で、四度司法試験に落ち、五年前、明墨と再会し、明墨の事務所に入所した。

 パラリーガルの白木凛を演じるのは、大島優子。明墨が、元検事であることを知っていた。

 糸井一家殺人事件の犯人とされる、死刑囚、志水裕策を演じるのは、緒形直人。

 会社の同僚の糸井誠と共謀し、会社の金を横領した。

 その後、糸井が、殺害されると、被疑者とされ、当初は、犯行を否認していたが、明墨の執拗な取り調べで、自白してしまい、死刑判決が下された。

 羽木朝雄殺害の容疑者、緋山啓太を演じるのは、岩田剛典。

 一話及び、二話で、明墨が、緋山を弁護し、無罪にする。

 緋山は、十二年前、江越の斡旋する、盗撮の闇バイトに手を出しており、盗撮映像に犯行時刻の志水が映っていたため、映像入手と交換条件に明墨が、弁護した。

 千葉県警警察本部刑事部長の倉田功を演じるのは、藤木直人。

 紫ノ宮飛鳥の父で、十二年前、志水のアリバイとなる、緋山の盗撮動画を握り潰した。

 検事の緑川歩佳を演じるのは、木村佳乃。検

 事正の伊達原の有能な部下として、振舞っていたが、実は、明墨と繋がっていた。

 検事正の伊達原泰輔を演じるのは、野村萬斎。

 過去には、明墨の上司であった。

 十二年前の糸井一家殺人事件の陣頭指揮を執り、その功績で、異例のスピード出世を遂げた。

 しかし、実は、上述の志水のアリバイを隠蔽していた。

 本作の最後に、志水の再審が認められるが、真犯人は、不明のままである。

 連続サスペンスとして、傑作と言える、非常に面白い、ドラマであった。