◆第012位 『おっさんのパンツがなんだっていいじゃないか!』

 評価:75点/脚本:藤井清美/フジ/土曜23時/出演:原田泰造・・中島颯太/全11話

 

 2021年より、『LINEマンガ』に連載中の練馬ジムによる、同名漫画の実写ドラマ化。

 本作は、「LGBT」、「推し活」、「腐女子」、「パワハラ」、「セクハラ」等の問題を扱っている、社会派ドラマ。

 本作のタイトルは、第三話において、「オッサンが、どんなパンツを履いてようが、誰も気にしない。

 同じ様に、誰と恋愛しようが自由だ」の台詞に基づいている。

 本作の主人公、沖田誠を演じるのは、原田泰造。

 昭和生まれの51才。

 事務機器リース会社、「銀杏事務機器リース」の営業戦略室長。

 デリカシーのない、言動のせいで、家族及び、会社で、嫌われている。

 昭和の価値観のまま、時代に付いていけない。

 筆者は、現在、50才であるために、主人公と同世代であり、誠の気持ちは、非常に理解できる。

 高校生の息子の翔が、引き籠ってしまい、理由がわからないため、ゲイの大知と友達になって、自分を時代に合わせて、変えようとし、価値観をアップデートさせてゆく。

 葦布大学獣医学部三年生、五十嵐大地を演じるのは、中島颯太。

 自身が、ゲイであることを、カミングアウトしている。

 引き籠りになった、翔に寄り添おうとし、誠と知り合う。

 誠は、大地を通し、多様性の価値観を学ぶが、大地自身、恋人の円との間に、悩みを抱えていた。

 誠の息子、沖田翔を演じるのは、城桧吏。

 三カ月前から、高校に行かず、部屋に引き籠って、家族とも会おうとしない。

 野球部に所属しているが、自分自身に違和感を覚え、引き籠りになった。

 違和感の正体は、自分でさえ、不明であるが、カワイイものとメイクが好きであることに気付くが、ゲイではない。

 違和感の正体を知ると、メイクの専門学校に進学したいと思うようになる。

 誠の娘、沖田萌を演じるのは、大原梓。

 ボーイズラブを愛する、「腐女子」の大学生。

 パインの名義を使い、ボーイズラブの二次創作の同人活動をしており、萌の漫画のファンは、非常に多い。

 翔の姉で、翔のことを心配しており、また、母の美香の押し活を理解しているが、二次元にしか、興味がない。

 率直に言うと、筆者は、本作の中で、萌が、一番、理解不能であった。

 誠の妻、沖田美香を演じるのは、富田靖子。

 萌と翔の母、男性アイドルグループ、「RANDOM」のソジュンにハマり、「推し活」をしている。

 弁当屋の娘で、「QUQU弁当」にて、パートをしている。

 誠は、当初、「RANDOM」を馬鹿にしていたが、美香と共にライブに行き、ファンになった。

 葦布大学の獣医学部6年生、砂川円を演じるのは、東啓介。

 大地の先輩で、恋人。

 熊本出身。親との約束で、卒業後は、地元に戻らなければいけない。

 実家は、牧場で、自身が、ゲイであるとカミングアウトできておらず、悩んでいたが、第九話にて、大地にプロポーズする。

 大地の母、シングルマザーの五十嵐美穂子を演じるのは、松下由樹。

 「いがらし動物病院」の獣医であり、大地に理解を示し、優しく、見守っている。

 沖田家のペットの犬、カルロスをお世話し、美香が、翔の引き籠りに悩んでいたため、大地は、翔の相談に乗るようになった。

 誠は、会社で、昭和の価値観から、「働き方改革」の時代の価値観にアップデートしようとする。

 本作のラスボスは、大地の実の父、堀内慎一郎。

 「LGBT」の社会での辛さを理屈で、反対する。本作は、「多様性」の時代を理解する上で、非常に勉強になる、ドラマであった。