◆第009位 『さよならマエストロ~父と私のアパッシオナート~』

 評価:080点/脚本:大島里美/TBS/日曜21時/出演:西島秀俊・芦田愛菜・石田ゆり子/全10話/平均視聴率:10.7%

 

 世界的に活躍する、天才指揮者が、五年前に断ち切れた、娘との絆を取り戻すと同時に、地方のオーケストラを立て直す、家族、音楽ドラマ。

 本作の舞台は、静岡県の架空の晴見市であるが、撮影は、筆者の地元である、静岡県富士市にて行われた。

 筆者は、数多のドラマを見ているが、本作以上に、富士市の風景を撮影した、ドラマはなかった。

 主人公の夏目俊平を演じるのは、西島秀俊。ヨーロッパにおいて、数々の著名なオーケストラと共演していた、天才マエストロ(指揮者)。

 天然な性格で、音楽以外には、何もできない、ポンコツ。

 五年前に、娘の響との事件を契機に、指揮者を辞め、オーストリアの音楽大学の講師をしていた。

 妻の志帆に頼まれて、日本に20年ぶりに帰国し、娘と息子の面倒を見ることになる。

 日本では、家族は、静岡県の晴見市に住んでおり、市民オーケストラである、晴見フィルハーモニーの指揮を依頼される。

 オーケストラの会場が、実在の富士市のロゼシアターのため、画面に頻繁に映った。

 オーケストラの団員達に、音楽に対する、アパッシオナート、即ち、「情熱」を呼び起こす。

 俊平の娘、夏目響を演じるのは、芦田愛菜。

 本作では、20才の設定で、晴見市役所の総務課に勤務していたが、文化振興課に異動する。

 勤務地が、文化ホールとなったため、オーケストラと深く関わるようになる。

 五年前の事件以来、父の俊平とは、不仲になっていた。

 俊平の妻、響と海の母、夏目志帆を演じるのは、石田ゆり子。

 画家になるため、フランスに渡り、俊平と結婚した。

 しかし、俊平が、音楽以外、ポンコツのため、家族の面倒を見なければならずに、自分の絵が、描けずにいた。

 五年前に響と海を連れ、日本に帰国し、晴見市に住んでいた。

 志帆は、第一話にて、オーストリアの俊平に連絡し、海外に行くため、その間、響と海の面倒を見て欲しいと依頼した。

 その結果、俊平が、日本に帰国したが、実は、晴見市内に住んでままで、第三話にて、嘘がバレる。

 志帆の目的は、五年前に断絶した、俊平と響の父子関係の修復である。

 また、俊平を晴見フィルハーモニーの指揮者として、紹介する。

 俊平と志帆の娘、響の弟、夏目海を演じるのは、大空利空。響と異なり、俊平との関係は良く、俊平と共に暮らせることを無邪気に喜ぶ。

 海は、志帆と同様、俊平と響の関係に心を痛めており、二人に対して、気を遣うと同時に、志帆が晴見市にいることを知ったが、協力して、黙っていた。

 晴見フィルハーモニーの団長、古谷悟史を演じるのは、玉山鉄二。晴見市役所観光課の職員。市長が、文化ホールを廃館にすると同時に、オーケストラを解散させようとするため、存続のため、奔走する。晴見市役所観光課の職員、森大輝を演じるのは、宮沢氷魚。トランペット奏者で、響の相談に乗り、良い雰囲気になっている。フルート奏者の倉科瑠李を演じるのは、新木優子。

響は、幼い頃、天才ヴァイオリニストであったが、年齢を重ねるに連れ、才能が、追い付かずに、15才の時には、音楽を楽しめなくなっていた。

 父の一言を契機に、精神のバランスを崩し、音楽を辞めてしまった。

 第九話にて、再び、ヴァイオリニストとしての「情熱」を取り戻す。

 本作は、風景が、富士市のため、物語以上に気になったが、オーケストラの感動を与えてくれる、ドラマであった。