◆第008位 『厨房のありす』

 評価:080点/脚本:玉田真也/日テレ/日曜22時/出演:門脇麦・永瀬廉/全10話/平均視聴率:5.3%

 

 自閉スペクトラム症を患っている、女性料理人と、彼女を取り巻く人々、そして、彼女の店にて、働くようになった、謎の青年との交流を通じて、変わり始める、生活描く、社会派ドラマであるが、それ以上に、二十年前の事件の真相を追究する、サスペンスドラマとしての要素が強い。

 本作の主人公、八重森ありすを演じるのは、門脇麦。

 自閉スペクトラム症であるが、豊富な化学の知識を有しており、その知識と料理の腕を活かし、料理店「ありすのお勝手」の店主をしている。

 なお、自閉スペクトラム症は、社会的コミュニケーションの困難さ、空間・人・特定の行動に対する強い拘りが見られる、発達障害の一つであり、ありすは、人との関わりが、難しい。

 住所不定のフリーター、酒江倖生を演じるのは、永瀬廉。

 第一話において、「ありすのお勝手」のバイト募集を見て、アルバイトをする。

 住む家が、無いため、ありすと、ありすの父の心護の家に、転がり込み、同居生活を送ることになる。実は、横領犯の息子とされていた。

 ありすの父、八重森心護を演じるのは、大森南朋。有機化学を教える、東名大学教授。ゲイを公言しており、ありすの実父ではない。

 二十年前、ありすの母が、火災で亡くなった際に、心護が、ありすを引き取って、実の娘と同様に育て、ありすのために「ありすのお勝手」を作った。

 ありすの幼馴染、三ツ沢和沙を演じるのは、前田敦子。

 ありすの幼馴染で、唯一の友人である。

 二児の母であり、お腹に三人目の子供がいる、肝っ玉母さん。

 自閉スペクトラム症のありすのことを理解しており、「ありすのお勝手」にて、働くことで、ありすを常に守っている。

 稲城化成の営業担当、松浦桃花を演じるのは、大友花恋。

 東名大学の八重森心護の研究室に出入りしている。

 高校時代の倖生の同級生であり、高校時代から、倖生に好意を抱いているため、ありすを目の敵にする。

 倖生が、東名大学の清掃のバイトをしていたため、再会した。

 本作の前半は、自閉症スペクトラムのありすが、「ありすのお勝手」に来店する、お客様の様子を伺い、最適な料理を作る、「お任せ料理」の料理ドラマである。

 また、和沙とその家族が、ありすを大切にする、社会派ドラマであり、ありすと倖生の恋愛ドラマである。

 しかし、本作は、五條製薬の過去の二つの事件、ありすの母が、死去した、研究室の火災事件、倖生の父の横領事件の真相を追究する、連続サスペンスドラマである。

 ありすの母、五條未智子を演じるのは、国仲涼子。

 二十年前の研究室の火災で亡くなったが、実は、殺人と判明する。

 五條製薬の研究開発担当取締役、五條蒔子を演じるのは、木村多江。

 当初、ありすの実の母と思われたが、未智子の姉で、ありすの伯母であることが判明する。

 五條製薬のCEO、五條道隆を演じるのは、北大路欣也。

 ありすの祖父であるが、「出来損ない」として、ありすを認めていない。

 五條製薬の次期CEO、蒔子の夫、五條誠士を演じるのは、萩原聖人。

 物語後半、実は、二十年前、倖生の父の十嶋晃生、五條未智子、五條蒔子、五條道隆、そして、八重森心護が、五條製薬の同僚の研究員であった。

 未智子の殺害及び、横領事件の真犯人は、同一犯であった。

 本作は、様々な要素があるが、サスペンス要素が、一番、面白かった。