◆第004位 『不適切にもほどがある!』

 評価:90点/脚本:宮藤官九郎/TBS/金曜22時/出演:阿部サダヲ・仲里依紗/全10話/平均視聴率:7.4%

 

 脚本、宮藤官九郎、主演、阿部サダヲのオリジナルドラマ。

 タイムスリップが可能な、タイムバスに乗って、登場人物達が、1986年と2024年の38年間を往復することにより、昭和及び、令和の価値観の差を表している。

 本作では、令和における、不適切な表現についての注意を喚起する、注釈テロップが、1話に何度も挿入されており、昭和の表現をそのまま、使用している。

 本作の主人公、小川市郎を演じるのは、阿部サダヲ。

 1935年(昭和10年)生まれの体育教師。中学校の2年B組の副担任で、野球部顧問を務めている。「地獄のオガワ」と呼ばれている程の超スパルタ教師で、部活では、「ケツバット」をしている。

 喫煙者のシングルファーザー。

 妻の死後、娘の純子を一人で、育てており、娘に「ブス」、「メスゴリラ」等の暴言を浴びせている。

 本作のヒロイン、犬島渚を演じるのは、仲里依紗。

 1歳6か月の息子を持つ、シングルマザー。

 令和では、EBSテレビのバラエティ番組のアシスタントプロデューサー。

 EBSテレビを辞めて、「SCANDAL」の夜営業のバイトをしていたが、後輩たちが相次いで辞めて人手不足になったため、復職した。

 第五話で、小川市郎の孫であることが、判明する。

 小川市郎の娘、小川純子を演じるのは、河合優美。

 1986年(昭和43年)生まれの高校二年生。

 聖子ちゃんカットで、ロングスカートを穿く、スケバン女子高校生。喫煙・飲酒等を行う、不良少女。

 令和に行ったことで、価値観が変わり、受験勉強をして、青山学院大学に合格する。

 令和時代のアプリ開発会社の社員、秋津真彦を演じるのは、磯村優斗。

 タイムスリップにより、令和に来た、小川と出会い、小川を自宅に居候させる。

 令和の若者らしく、コスパ及び、タイパを重視しており、セフレはいるようであるが、本気の恋愛をしたことがなかった。

 昭和時代のヤンキー、秋津睦実を演じるのは、一人二役の磯村優斗。

 マッチ、即ち、近藤真彦に憧れており、後輩に「ムッチ」と呼ばせている。

 中卒のヤンキーで、純子の憧れの先輩である。

 第四話にて、真彦の父であることが判明し、2024年の睦実は、太っており、彦摩呂が演じた。

 フェミニストの社会学者、向坂サカエを演じるのは、吉田羊。

 タイムマシンの開発者、三宅弘城の演じる、井上昌和の元妻。

 昌和が、耳抜きができず、時間遡行実験に耐えられなかったために、代わりに息子のキヨシと共に、1986年の昭和時代にタイムスリップする。

 昌和とサカエの息子、向坂キヨシを演じるのは、坂元愛登。

 「地上波で、おっぱいが見たい」と、一目を憚らずに言う、下ネタ好きの中学二年生。

 昭和が気に入り、強引に母と共に昭和に残って、小川家に居候する。

 短ラン、ボンタン、リーゼントのヤンキースタイルになる。

 喫茶店「すきゃんだる」(SCANDAL)のマスターを演じるのは、袴田吉彦。

 2024年は、沼田爆。24年間、変わらずに営業を続けており、登場人物達の出会い及び、集合場所になる。

 本作では、物語中盤、小川市郎と純子の哀しい、運命が明らかになり、切ない物語となる。

 本作は、1986年と2024年の価値観を明瞭化し、昭和万歳ではなく、双方の問題を指摘している。

 クドカンらしさと同時に、最終的に「寛容」の重要さを説く、傑作ドラマであった。