◆第002位 『競争の番人』

 評価:85点/脚本:丑尾健太郎/フジ/月曜21時/出演:坂口健太郎・杏/全11話/平均視聴率:8.8.%

 

 新川帆立の同名原作小説の実写ドラマ化。

 フジテレビの「月9」は、2クール連続で、新川帆立の原作を序盤に映像化し、その後、オリジナルストーリーとなる。

 「公正取引委員会」が、主人公のサスペンスドラマは、日本のドラマ史上、初めてである。

 本作の主人公、小勝負勉を演じるのは、坂口健太郎。

 公正取引委員会の精鋭部隊、第六審査、通称、「ダイロク」の審査官。

 完全記憶能力を持ち、二十歳で、司法試験に合格し、東大法学部を首席で卒業した、エリートであるが、司法ではなく、公正取引委員会への入局を選んだ。

 第一話にて、刑事から、ダイロクへの異動を命じられる、白熊楓を演じるのは、杏。

 殺人事件の現場付近にて、不審人物を逮捕するが、逃げられて、ダイロクに飛ばされる。

 後に、楓の異動は、物語後半の連続ストーリーの隠蔽のためであったことが、発覚する。

 ダイロクの主査、桃園千代子を演じるのは、小池栄子。

 気の強い性格であるが、相手の心に、上手に飛び込むため、事情聴取を得意としている。

 新人の楓、後輩の六角に厳しいが、サバサバの性格のため、嫌われておらず、寧ろ、頼りにされている。

 ダイロクのキャップ、風見慎一を演じるのは、大倉孝二。

 気の弱い性格で、公正取引委員会を、「弱小官庁」と卑下している。

 非常に優しく、新人の楓をフォローすると同時に、桃園に反論できず、無茶な行動を取る、小勝負に振り回されているが、重要な時は、キッチリと決める。

 ダイロクの審査官、六角洸介を演じるのは、加藤清史郎。

 父は、検察庁の幹部のエリート一家。検事を目指していたが、司法試験に落ちたため、公正取引委員会に入局する。

 基本的に、明るく、優しい、お坊ちゃまの気質。

 ダイロクの審査長、本庄聡子を演じるのは、寺島しのぶ。

 第五審査までしかなかった、公取委に、第六審査を作った、発起人である。

 公取委に出向中の検事、緑川瑛子を演じるのは、大西礼芳。

 瑛子は、東大時代の小勝負の同期で、小勝負に好意を持っている。

 第一話~第三話までは、原作通り、栃木県の結婚式場のカルテルを調査している。

 原作では、楓は、警察学校中退のため、元刑事ではなく、一般職員である。

 公正取引委員会は、警察及び、検察等と異なり、捜査権を持たず、立ち入り検査を拒否されれば、検査ができない。

 本作の楓は、捜査権を持つ、警察との違いを際立たせるため、有り得ない、人事異動に設定したと思われる。

 本作の黒幕、国土交通省事務次官の藤堂清正を演じるのは、小日向文世。

 建設業界の談合の推進人物で、小勝負の宿敵である。

 十五年前、四国地方整備局長時代、小勝負の父の建設会社を談合に追い込み、自殺させた、張本人。

 その時の四国の公取委の審査官が、本庄である。

 本庄は、十五年間、藤堂を追い続けた。

 中学生の小勝負は、藤堂及び、本庄に出会っており、本庄は、小勝負のため、藤堂逮捕のために、ダイロクを立ち上げたのである。

 本作を見ていると、談合に参加していない、弱小企業が、いかに仕事を得られずに、倒産するのか、また、大企業の下請けイジメ等が、良くわかるため、社会人には、必見のドラマである。