◆第001位 『初恋の悪魔』
評価:085点/脚本:坂元裕二/日テレ/土曜22時/出演:林遣都・松岡茉優・仲野太賀・柄本佑/全10話/平均視聴率:4.7%
神奈川県警境川署に所属する、停職中の刑事、総務課の警察行政職員、生活安全課の刑事、経理課の警察行政職員、即ち、捜査権を持たない、四人の警察関係者が、自宅捜査会議を開き、「マーヤーのヴェールを剝ぎ取るんだ」を合言葉に、独自の推理をする、サスペンスドラマ。
本作の主人公、鹿浜鈴之介を演じるのは、林遣都。
県警の捜査一課の刑事であったが、銭湯に拳銃を忘れたため、停職処分になった。
古今東西のハサミの収集家であり、凶悪犯罪愛好家の推理マニアのため、推理能力は、圧倒的に高く、優秀な刑事である。
総務課の警察行政職員、馬渕悠日を演じるのは、仲野太賀。
父と兄が、刑事であったために、警察官を目指すが、警察学校を中途退学し、行政職員となる。
兄の朝陽が、捜査中の事故により、殉職しており、兄に対する、劣等感を抱いている。
本作のヒロイン、生活安全課の刑事、鏑木星砂を演じるのは、松岡茉優。
「ヘビ女」と呼ばれる、別人格を持つ、多重人格者。
別人格とは、記憶を共有していないため、購入記憶のない、服等が、大量にある。
朝陽のスマホを持っており、拳銃で、撃たれたことがあるが、記憶がない。
経理課の警察行政職員、小鳥琉夏を演じるのは、榎本佑。
境川警察署の刑事課の新人刑事、服部渚を演じるのは、佐久間由衣。
捜査熱心で、新たな情報を収集するが、課長に無視される。
自宅捜査会議は、渚に恋した、琉夏が、渚のために始まった。
境川警察署の署長、雪松鳴人を演じるのは、伊藤英明。
県警の捜査一課時代の朝陽の同僚で、朝陽の尊敬する、優秀な刑事であった。
朝陽の弟の悠日を可愛がっていたが、実は、紛失された、朝陽のスマホを探していた。
悠日に、朝陽の殺害容疑者として、鈴之介の監視を命じる。
鈴之介の家の隣人、森園真澄を演じるのは、安田顕。
自宅内で、奇怪な行動をしていたために、鈴之介に猟奇犯罪者と誤解される。
現在は、サスペンス小説家であるが、実は、元弁護士である。
五年前の殺人事件の犯人を鈴之介と誤解していた。
本作の前半は、一話完結型のサスペンスドラマであるが、後半は、三つの連続殺人事件を追う、連続サスペンスになる。
五年前及び、三年前の殺人事件は、既に、犯人が、実刑になっていたが、冤罪である。
三年前の殺人事件の犯人とされた、淡野リサを演じるのは、満島ひかり。
元監察医の医者、小洗杏月を演じるのは、田中裕子。
満島と田中は、坂元裕二の作品の常連である。
本作は、前半に散りばめられた、複線が、後半に見事に回収される。
星砂の別人格は、十六歳の年に家出をし、リサに救われていた。
本作の後半の星砂は、ヘビ女の人格の時間が長く、無実のリサを救うため、鈴之介の家に住み、連続殺人事件の真犯人を追う。
本作の犯人は、特に意外性はないが、サスペンスとして、非常に面白かった。
本作の前半では、星砂が、悠日と恋愛関係になるが、後半、鈴之介は、別人格の星砂を愛するようになる。
別人格の「ヘビ女」の星砂が、本来の自分の人格ではないと認識していることが、非常に哀しい。
本作は、サスペンスのみならず、鈴之介と別人格の星砂の別れが、切なくて、感動した。