アメリカでのアイリッシュ音楽を新しく引き継ぎをしたのは「カーター・ファミリー」である。カーター・ファミリーは、アメリカ南東部のアパレチアン山脈麓でのアイルランド移民の開拓地で歌い継がれてきた民謡や、それに即した自作の楽曲をレパートリーとしていた。歌詞の内容は、宗教や家族を主題とした道徳的・保守的なものが多かったが、歌唱法は伝統的な様式とは異なり、新しくゴスペルにみられるようなハーモニーを加えた。そうしてアメリカでの初のカントリー音楽のグループとなり、今の白人系のポピュラー音楽の基として大きな影響を残した。
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時を経て、カーター・ファミリーは母と娘の言わば第二世代になった。お母さんのマザー・メイベル(Mother Maybelle: 1909-1978)に、3人の娘ヘレン、ジューンそしてアニタが加わった。特に母メイベルの二本指のギター奏法は有名。三女のジューンは後にカントリーの王様のひとりジョニー・キャッシュの妻となった。
🎵「Wildwood Flower/森かげの花」カーターファミリー
唄とギター:メイベル・カーター
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さてアイリッシュ移民は開拓地での作業のない休養日に、故郷を偲んでの音楽とダンスで労を癒した。主にアパレチアン山脈の南東部の州が多かった。そうしてケンタッキー州でビル・モンローが始めたのがアイリッシュ風味一杯の”ブルーグラス音楽”であり、その後はカントリーの重要なジャンルの音楽となった。POPSであってもあまりヒット・チャートとは関係が少ない、フォーク音楽・地付きの音楽なのだ。楽器もアメリカで生まれたフラット・マンドリンや5弦バンジョーにドブロ・ギター、それに黒人のブルース感覚も加わりアイリッシュ音楽が変化して、1945年頃に新たなアメリカの音楽として確立した。
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ブルーグラス音楽の父 ビル・モンローの唄と演奏を聴いてみよう。特に曲のリズムがアイリッシュ音楽を引き継いでいる🙄
🎵「Uncle Pen/ペン叔父さん」Bill Monroe&The Bluegrass Boys
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女性カントリーの重鎮エミルゥ・ハリスとビル・モンローのデュエット
🎵「Kentucky Waltz/ケンタッキー・ワルツ」
二人ともにアイルランド移民の子孫です
和訳歌詞:
その夜 私たちは美しい秋の満月の下で
ケンタッキー・ワルツを踊っていた
そして私は幸運な青年でした
でも全ては あまりにも早く終わってしまった
月明かりの下で いま一人で座っていると
あなたの笑顔が目に浮かびます
そしてもう一度 あなたの抱擁を待ち望むのです
あの美しいケンタッキーのワルツの中で
※拙訳のため言葉足らずの処があるかも知れません
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もう1曲聴いてみようか・・
🎵「ケンタッキーの青い月/Blue Moon of Kentucky」
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この歌手が札幌公演に来て、若い頃の私も聴きに行った。風邪気味だと言われていたが素晴らしいステージだった。ビル・モンロー作のワルツ曲を唄います。
🎵「ブルームーンがまた輝けば/Is The Blue Moon Still Shining?」
唄:ローリィ・ルイス/Laurie Lewis
和訳歌詞:部分
ブルームーンは まだ輝いていますか?
私に輝いているように あなたにも輝いているのでしょうか
ブルームーンは 私たちを再び結びつけてくれるのか
それとも 悲しい思い出を残すだけなのか・・
月が青く輝くとき 私たちはお互いを思いやるのでしょうか?
私があなたを必要とするように あなたにも私が必要か
あなたは戻ってきて 私を愛してくれるの?
それとも 私たちは本当に終わったのか教えてくれるか・・
※拙訳のため言葉足らずの処があるかも知れません
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ブルーグラスと言えば、これがすぐに思いつくドライブの効いた定番の曲。楽器の腕の見せ処だが、どの楽器も皆凄いテクニックだ😮🎵
🎵「恋人の腕に抱かれて/Rollin' in My Sweet Baby's Arms」
唄:Dan Bone 演奏:The ETSU Bluegrass Pride Band
歌詞和訳:部分
可愛い恋人の腕の中 おいらは抱かれているんだよ
可愛い恋人の腕の中 おいらは抱かれているんだよ
小屋でゴロゴロしてるんだ 郵便列車が戻ってくるまでね
可愛い恋人の腕の中 おいらは抱かれているんだよ
鉄道で働くつもりはない 農場で働くつもりもない
小屋でゴロゴロしてるんだ 郵便列車が戻ってくるまでね
可愛い恋人の腕の中 おいらは抱かれているんだよ
※拙訳のため言葉足らずの処があるかも知れません
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どうでしたか?アイルランド音楽と同じくアコースティック楽器を使っているし、特に早い曲のドライブ感は凄いですね😮🪕アメリカで教会音楽の影響を受け、ハーモニー・ヴォーカルが付けられたのも特徴だ🎵次回に続きます😊
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