前回はブラジルの音楽「ショーロ」の記事でした。それでその故郷の音楽であるポルトガルの「FADO/ファド(運命・宿命)」について少しだけれど記事にします。勿論ファド以外にも若者向きのPOPSもあるが規模は小さい。唄われる歌は古くからの歌が多く6割くらいで、大半は「嘆きの歌」です。元々は「ファド・ハウス」と呼ばれるライヴ酒場・レストランなどで唄われていて、リスボンの夜の街には地元の人々や観光客が溢れている。(以前の記事に手を加えてリメイクしました)
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ファドとは何か?簡単には言い表せないが[Saudade/サウダーヂ] 郷愁や哀愁の感情を表して、もちろんブラジル音楽にも引き継がれています。その旋律はイスラムやスペイン音楽の影響もあると思うし[人々の心の底の想い] と私は解釈しています。世界の地付きの音楽には必ずあるもので、例えばシャンソンやカンツオーネ、タンゴやアメリカのブルース等と共通しているとも思う。
ファドの事も書きたい事が多くありますが、簡単に触れた記事でないと終わらないので、新しい歌手もいるだろうが私の好きな歌手の記事にしようかな🙄
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人気のあるファドの大物歌手です
[アナ・モウラ/Ana Moura]
彼女の唱法は鋭く突き詰めた喉から絞り出す声と、ドラマティックに唄い込むスタイルで聴き手を魅了する。私はこの歌手が特に好きなんです💞😊
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🎵[ Loucura / 狂おしきもの]
2007年のライヴ
伝統的にファド歌手は概ねダークな服装で目を閉じて唄い出す。入念の見事な唄いっぷりである。数あるファディスタ(ファド歌手)のなかで群を抜いている。伴奏はファドには欠かせない”ギターラ”という楽器で、音色はマンドリン(ダブルの4弦)と似ているがダブルの6弦で、ファドには無くてはならない12弦の楽器だ。ブラジルにも伝わっていて”バンドリン”と呼ばれて前記事の「ショーロ」の演奏に使われている。
最後に満席の観客の総立ちの賛辞を受けている。
私は何故ファドを歌うのか?と唄っていて、ポルトガルの国民的なファドの本質をよく表わしている歌です。
和訳歌詞:
私はファドに属しています
知っているものは 唄われた詩に生きています
私が見いだしたファドは 言葉では表現できない
しかし私の魂が唄わせる時には
魂は聴く方法を知っている
泣いて 哭いて 私の国の詩や歌は
同じ根の幹 私たちを結びつけた人生
そしてあなたが傍に居なかったら
それならファドはありません
私のようなファドの歌い手も
とても痛々しい この声も
皆さんからやって来るものだろうか
私の人生の詩や歌の物語たち
それは私の言う事をきく狂気です
しかしこの歌と苦しみの狂おしきものは
この国の皆に祝福されているのです
※拙訳ののめ言葉足らずの処もあるかもしれません
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伝統的なファドの曲ではないが、ややポップス風で如何にも新らしく作られたファドで、やはり嘆きの歌だ。何か好きな曲だな~。
🎵[ O que foi que Aconteceu /それは起こった・・]
2004年アナのデビュー頃の歌声
和訳歌詞:(部分)
それは起こった
私はあなたを期待していなかった
そして あなたも私を探してはいなかった
あなたは私が誰であるかさえ知らなかった
私がいなければならないという理由だけで
私はそこにいました
そして、あなたは私の元にやって来た
私はあなたを見ました 全世界が止まって
その瞬間に私の人生は変わりました
すべてが永遠であることを意味していた
そして あなたは永遠に私のもの
でも どこで迷子になったのでしょうか
私の愛に何が起こったのか・・
※拙訳のため言葉足らずの処もあるかもしれません
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🎵[ Porque Teimas Nesta Dor/この痛みに耐えている]
2016年のライヴ
独りでこのコンサート劇場を満席にしていて、現在の歌手では人気・実力とも最高と言える。ポルトガルの12弦楽器ギターラのソロも泣かせるね。
歌詞和訳:部分
なぜこの痛みに耐え続けるのですか
なぜ終わらせたくないのですか
私たちの愛を知っていますか
私の中で死なないでください
偽りのキスはしないわ
唇は真実を知っているのよ
禁断の唇は 私の魂を憧れに留める
偽りのキスはしないわ
唇は真実を知っているのよ
禁断の唇は 私の魂を憧れに留める
※拙訳のため言葉足らずの処もあるかも知れません
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🎵「 Maldiçaõ /呪い| 2020年
元祖アマリア・ロドリゲスの唄った古き曲です
歌詞和訳:部分
なんという宿命か それとも呪いなのか
教えてしてください 私の心なのか
お互いは とても迷っています
私たち二人の静かな叫び声です
二人のままならない運命
別れてしまった ふたつの恋
※拙訳のため言葉足らずの処もあるかも知れません
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略歴:アナ・モウラ/Ana Moura 1979年生まれ43歳
元々はPOPS歌手だった。TVで知られるようになったのは2003年の頃からで、2009年のアルバムはプラチナとなった。その後のアルバムではポルトガルで史上最高のチャートアルバムとなりました。今が最高のファド歌手として君臨している。ポルトガルの人々の心の底の想いを唄うという事は、ここに挙げた動画の如く、人々を魅了し陶酔させるのです。
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かってアマリア・ロドリゲスの歌っていたファドは軍事独裁政権に利用され、その政権が崩壊した1975年以降は、国民の冷たい視線にさらされ人気は冷え切ってしまった様に見えた。しかしカティア・ゲレイロやマリーザ、アナ・モウラなど新しい時代の歌手達によって見事に再生・復活し、自由を得て国民的なその地位をようやくまた取り戻した。
国歌は別としても「FADO/運命」・・このような意味の言葉で一国の国民的歌謡を表すのはとても珍しいし他に類をみない。昔の大航海時代や漁業などで海に出るのが盛んな国だったし人々の辛い別れがあった筈だから、きっとそれも影響していると私は思っている。でもそれがまた人生を表わしており、私は何かそれが好きなのだ💞🎵
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ファドの事を簡単に書いてきた。元来歌は喜びや哀しみが光と影、裏表になって唄われるもの。どちらが欠けても成り立つものでは無い。ブラジルのサンバなどの音楽も陽気なリズムの裏に歌の底に隠されている「Soudade/郷愁・哀愁」の感情は切り離せないのだ。
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