映画「オッペンハイマー」を観ました。
もう、絶賛。必見の名作です。
科学のパラダイム(基本的な枠組み)をシフト(塗り換えた)した科学者は数あれど、オッペンハイマーは人類史上初めて世界のありようをシフトした科学者だということがよく分かりました。
以下、感想メモです。
●オッペンハイマーは何でもよく見えた。カッサンドラなみによく見えた。ただ、人間の「嫉妬」や「劣情」の恐ろしさに無自覚だった。でも、この人間的弱点を抱えていたがゆえに原子爆弾を作れたのかもしれないとも思いました。
●人間は図星を言い当てられるのが一番こたえる。アインシュタインでさえもこたえる。人間関係においては「正しいことや的確なことが常にいいことにはならない」ことに、なぜかオッペンハイマーは気づかなかった。
●わたし(本木)が理系出身だからかもしれませんが、「人類には早すぎる」原爆開発への自責の念と、アメリカで「量子力学」という新しい物理学を根付かせるのだという科学技術振興への熱意とのコンプレックスの大きさと強さは凡人の理解を超えるはず。
●もしオッペンハイマーがわたし(本木)の前に現れたら、無言で彼を抱きしめるでしょう(性的な意味ではなく)。あるいは川沿いの道や池のほとりを無言で一緒に散策するでしょうーーそんなことをしても世界が変わらないことは分かっています。それでも、人類の宿命を背負ってしまった彼の苦しみをほんの少しでも共に感じたいからです。