アン・アキコ・マイヤースのヴァイオリンで「荒城の月」を聴く幸せ 〜PACオーケストラ定期演奏会〜 | 西宮・門戸厄神 はりねずみのハリー鍼灸院 本木晋平

西宮・門戸厄神 はりねずみのハリー鍼灸院 本木晋平

鍼灸師、保育士、JAPAN MENSA(メンサ)会員/IQ149(WAIS-Ⅲ)、日本抗加齢医学会指導士、実用イタリア語検定3級。趣味は読書、芸術鑑賞、小説執筆(2019年神戸新聞文芸年間賞受賞)、スイーツめぐり、香水づくり。

事後報告。

 

兵庫芸術文化センター管弦楽団 2018-19シーズン
第112回定期演奏会
岩村力&マイヤース オーケストラ音楽の融合
 

に行ってきました。


指揮:岩村 力(レジデント・コンダクター)
独奏ヴァイオリン:アン・アキコ・マイヤース

管弦弦:PACオーケストラ

 

【プログラム】

大澤壽人:交響組曲「路地よりの断章」


ラウタヴァーラ:ヴァイオリンと管弦楽のための「ファンタジー」※日本初演
ラヴェル:ツィガーヌ

●ソリストアンコール曲
滝廉太郎(編曲:アン・アキコ・マイヤース):荒城の月

 

(20分休憩)

リムスキー=コルサコフ:交響組曲「シェエラザード」

 

ーーー

 

大澤壽人(おおさわ ひさと 1906−1953)は神戸生まれの作曲家。

交響組曲「路地よりの断章」(演奏時間は約20分)は

1 インヴェンション

2 母の子守歌

3 だるま

4 夜想曲

5 かくれんぼ

6 銅鑼

7 陽気な小径

 

とても前衛的な作風で、驚きました。

オネゲルやヒンデミットみたいな感じです。

日本的な節回しもないではないですが、日本人作曲家が作曲したというより国際的な作曲家が作曲したという印象です。

大澤が長生きしていたら、日本の現代音楽のシーンはずいぶん変わっていたと思います。1936年初演というのも驚きです。

 

フィンランドの現代作曲家、エイノユハニ・ラウタヴァーラ Einojuhani Rautavaara(1928−2016)のヴァイオリンと管弦楽のための「ファンタジア」は日本初演。演奏時間は約14分。

とても透明感のある、寒色のパステルのような雰囲気の音楽でした。

解説には

 

「雄大でのびやかな楽想にあふれ、清冽なリリシズムを湛える。独奏ヴァイオリンの息の長い主題が深遠で神秘的な雰囲気を醸し出す」。

 

「清冽(せいれつ:水が清く澄んで冷たいこと)」とか「リリシズム(抒情主義的な雰囲気)」とか、さすがです。久しぶりに見ました。こういう言葉をさらっと使えるひとが羨ましい。

 

楽器編成もユニーク。

フルート、オーボエ、クラリネット、バスーン(ファゴット)2、ホルン4、ティンパニ、マリンバ、弦楽5部です。

 

ラヴェルのツィガーヌ、リムスキー=コルサコフの交響組曲「シェエラザード」も見事でしたが、一番印象に残ったのは、アン・アキコ・マイヤースのアンコール。

 

滝廉太郎(編曲:アン・アキコ・マイヤース):荒城の月

 

でした。

日本人でよかった、日本で産まれ育ってよかった、と思える幸せな時間でした。

ありがとうございました。