美しい書を見るたび思い出すミリエル司教の言葉 〜新春の書@さんちかホール(神戸・三宮)〜 | 西宮・門戸厄神 はりねずみのハリー鍼灸院 本木晋平

西宮・門戸厄神 はりねずみのハリー鍼灸院 本木晋平

鍼灸師、保育士、JAPAN MENSA(メンサ)会員/IQ149(WAIS-Ⅲ)、日本抗加齢医学会指導士、実用イタリア語検定3級。趣味は読書、芸術鑑賞、小説執筆(2019年神戸新聞文芸年間賞受賞)、スイーツめぐり、香水づくり。

きょうは仕事の後、三宮の地下街にあるさんちかホール

第17回 兵庫県書道展(参与・理事展)新春の書

を観に行きました。

会期は 2015年1月2日~1月6日 
展示時間は10時~20時(6日は19時まで)
※入場は19時30分/6日は18時30分まで

入場無料です。
無料で兵庫県書作家協会の第一線で活躍されている書家の作品が拝める。
さらに出展者直筆の年賀はがきも展示されるという、
書道ファン・美術ファンならぜひ観ておきたい展覧会です。

ところで、文学ーーことに和歌や漢文ーーの素養のないわたしには、
書の展覧会は文学の勉強の場でもあります。


自由律俳句(5・7・5のリズムでない俳句)の大家種田山頭火(1882-1940)の
「濁れる水の流れつつ澄む」


『古今和歌集』より小野篁(おののたかむら 802-852)の和歌
「花の色は雪にまじりて見えずとも 香をだににほへ人の知るべく」
(白梅よ、その花の色は雪にまざって見えなくても、せめて香りだけでも匂わせてくれ、人がそれと気づけるように)


中国・盛唐の詩人で「詩仏」と讃えられた王維(おうい 701?-761?)の
『酬張少府(張少府に酬ゆ)』の一節、   
「山月照弾琴」(「山月(さんげつ)照らせば 琴を弾(だん)ずる」)
明るい月が山に懸(かか)れば 琴をつまびく


中国の古典『詩経』の「七月」という詩の一節
「萬壽無疆(ばんじゅむきょう)」
(「万寿(ばんじゅ) 疆(かぎり)無(な)けん」/「万寿(ばんじゅ) 疆(きわまり)無(な)し」)
「一万年も生き長らえるご長寿といいますが、ますますご健康で、一万年どころか限りなくご長命でありますように」(長寿長命を祝っていう言葉)
※漢字検定1級にも出るみたいですね、この四字熟語。


もちろん、こういうのも好きです(本当はこういうのが好き・・・)

書道展の作品を見るたび、わたしは、
フランスの文豪ヴィクトル・ユーゴー/ユゴー(1802-1885)の傑作、
『レ・ミゼラブル(ああ無情)』のミリエル司教ーー泥棒のジャン・ヴァルジャンを正しくまっとうな男へ改心させたひとーーの、次のセリフを思い出します。

「これはまた地面をむだにしていらっしゃいます。花よりもサラダでもお植えなされたがよろしいでしょうに。」司教はそれに答えた。「マグロアール、それは考え違いだよ。美しいものは有用なものと同じように役に立つものだ。」それからちょっと言葉を切って、またつけ加えた。「いやおそらくいっそう役に立つだろう。

『レ・ミゼラブル〈1〉』ユーゴー作/豊島与志雄訳(1987)

読める/読めないを超越した美しい字を前に、わたしは幸せな、満ち足りた気分になるのです。


と、いうことで、神戸・三宮に出る機会のある方、一度さんちかホールにお立ち寄りください。会期はあさって火曜日まで、お早めに!