私は同じ派!
松下幸之助の言葉に「日々是新たなれば、すなわち日々是好日」 というのがあります。なるほどなあと感心する一方で、違和感も覚えました。
「きのうと同じ感性をもって同じ生活をしているひとは本当に成長しないのだろうか?」
「いい日にするために、どうして新しくしなければならないのだろう?」
もう一つ。
1970年代、電通PRは『戦略十訓』を提唱しました。
ヴァンス・パッカード著『浪費をつくり出す人々』(1960年)をもとに作られたそうですが、
ヴァンス・パッカード著『浪費をつくり出す人々』(1960年)をもとに作られたそうですが、
○もっと使わせろ
○捨てさせろ
○無駄使いさせろ
○季節を忘れさせろ
○贈り物をさせろ
○組み合わせで買わせろ
○きっかけを投じろ
○流行遅れにさせろ
○気安く買わせろ
○混乱をつくり出せ
「流行遅れにさせろ」はなるほどな、と思いました。
流行(変化)がなければ流行遅れ(変化についていけないひと)もありません。
アッフォガート(バニラのアイスクリームに熱々のエスプレッソコーヒーをかけたデザート)は常識破りで流行っています。
わたしが若い頃には「アイスクリームの天ぷら」がずいぶん流行りました。
「季節を忘れさせろ」もなるほどな、と思いました。
冬にアイスクリームを食べてはいけないというのはおかしい。
冬にアイスクリームを食べるのもオツなものですよ、という風に意識を変えないといけない。
自然は時々刻々と変化しているのだから、人間も日々刻々と変化していかなければならないーー
わたしは、この種の「ならない」「いけない」ーー成長神話と言ってもいいかもしれませんーーに、現代のストレスの起源を求めるのです。
わたしたちが意識しようとしまいと、気張ろうと気張るまいと、すべては日々刻々と変化して「いく」ものではないでしょうか。
わたしは、『老子』(道教)の
無為自然
(人の手を加えないで、何もせずあるがままにまかせること)
(人の手を加えないで、何もせずあるがままにまかせること)
という考えの深さーー古代人の知恵を見直すべきだと思っています。
少なくとも、この無為自然への回帰願望は、わたしが小説を書く動機の一つです。
現代社会とは無為自然を忘れさせるシステムですが、わたしはそのシステムが守るに値するものとはどうしても思えないからです。