昨日、歴史の人物の動画を見ました。その人物は大村益次郎。軍神と謳われ日本陸軍の祖となる人物です。凄く頭が良くて頭の中でシュミレーションが出来てしまいます。元々バリバリの軍人という訳ではなく、医者を挫折し、翻訳家として活動するうちに西洋の兵法を理解し、軍師となった異例の人物であることが知れました。
さて、その関連といっちゃなんですが中学時代に父に買ってもらったゲームを紹介しようかなと思います。
ゲーム名は風雲幕末伝。
このゲームをやってた時がタイムリーに、幕末が学校の学習範囲でしたので、この時だけ社会の成績が5段階中5でした。ハマったのもあって、素直に勉強するよりその時は歴史が頭に入りました。
ゲームの仕組みをまずは。
基本パートは主人公を操作して任務にあたります。任務は大体敵の討伐、拠点の防衛、護衛とか。捕縛とか追跡とかただただやっつけるだけではないものも存在。任務では仲間を連れる事が出来ます。で、その仲間は史実の人物でドリームチームを組めます。強い仲間ほど『格』というコストが必要ですが、なんやかんやでアホみたいに貯まるので毎回好きな有名人を連れ回す事が出来ます。
歴史的に重要な局面では、任務が特別仕様、特命任務になりメンバーが固定され、緊張感のあるものとなります。
アイテムの召集も楽しくて、幕末を象徴する代物や著名な刀を入手出来ます。刀はだいたい交友を深める事で入手出来ます。なかでも印象的なのは藁人形で、町人とかを斬ると法度が貯まるんですが、任務中にこれが特定数貯まると失敗になりますが、これを失敗しない程度に積み上げていくことで獲得でき、主人公にヤバいデバフをかけてきます。ひとつ事象をあげるとランダムに出血という、いきなり血が噴き出るというトンデモ仕様の呪いです。
剣術にも勿論こだわりがあり、示現流や天然理心流、北辰一刀流といったものから好きにチョイスして主人公に覚えさせます。技は2種類仕込むことができ、さらに相手への仕掛けや4パターンの受けもあって本格的な剣術を楽しめます。当時は2つのスロットのうち、ひとつは攻撃性を重視、2つは瞬発性を大事にしていました。護衛系だと速さが大事ですから。受けはタイミングよくガードする必要があり、下手だったので仕込みませんでした。代わりに仕掛けはフルで。技を仕込むのにもコストが必要です。抜き付けにも技が設定されており、ゲーム内最強の居合技を使ってくるのは、あの人斬り抜刀斎のモデルと、こういうところにも拘りがあるのがいいですね。また仲間との連携技もあり、陣形を駆使しながら特定の状況になると強力な技を放てます。勿論、固有キャラだとオリジナルの連携もあったりします。
さてストーリーです。このゲームには選べるメインストーリーは2種類あって佐幕と倒幕です。どちらもしっかりと練り込まれていて、勉強がてらといってはなんですが、本当に幕末の史実をよく楽しむ事が出来ます。池田屋事件と鳥羽伏見の戦いが共に通過するイベントで主人公同士が対峙します。佐幕側と倒幕側にそれぞれ主人公がいます。話の系列的に佐幕の方が少し長いので、まずは倒幕から書いて次に佐幕を。
・倒幕
いきなり桜田門外の変と、歴史の大事件からスタートします。敵はワンパンで倒れるので戦闘としては楽ですが、イベントには凄い迫力があります。蹴飛ばしたり切り付けたりともう乱戦です。最後には駕籠にいる井伊直弼を四方八方から突き刺し、駕籠から血がブシャーという演出。主人公は降りしきる雪の中、仲間に逃してもらい駆け抜けます。主人公、ゲームとしてですが、主要人物と関わりまくります。維新の三傑や幕末の四大人斬りなどネームドと絡んで歴史を辿って行きます。海援隊にも奇兵隊にも所属し、歴史を縫い合わせるように行動します。実在してたら凄いぞ。当時としてはそんなに意識してませんでしたが、次々と仲間の訃報が続き、つい最近まで一緒に任務をしていた仲間が居なくなるのは悲しいですね。倒幕の最終任務は鳥羽伏見の戦いで、ラスボスは坂本龍馬を暗殺したとされる相手。この最後の任務、仲間は居なくてラスボスの前に新撰組のボスラッシュがあります。このラスボスと著名な老隊長が史実通りに亡くなります。時代に取り残された者とこれから切り拓こうとする者との対比、やりとりは見ものです。エンディングでは主人公が勝海舟にこれからについて問いかけますが、勝海舟は何も言わずに盆栽を渡します。なんかメッセージ性があるような深く考えるなという事か。終幕は主人公が大型船に乗って海外に行く描写です。これから新時代を駆け抜けようとする者らしい姿ですね。
・佐幕
新撰組、としてではなくなんと壬生浪士時代から始まります。本当に最初の最初ですね。新撰組結成の前の局長は傍若無人で、これではあまりにも組織の評価が悪くなるという事で暗殺する事になります。その任務でも勿論操作する事になり、すっげぇいびきをかいて寝ている局長に不意打ちを決めてから戦闘になります。その後、新撰組が結成され治安維持に勤めます。捕縛が印象的で、倒幕にはないですね。情報を吐かせるために殺してはいけない、と特定の順序を踏み捕縛専用の特定のキャラとしか出来ない連携で相手を捕まえる特殊なものです。新撰組であった事件を追体験していき、池田屋事件は勿論のこと、新撰組から分裂した組織と対峙する油小路の変も体験する事が出来ます。主人公1人でそのアタマとやり合うという無茶振り(その相手が使う技は作中最強)をこなすとその死体をとりにきた相手とも対決します。これ、かつての親しい仲間もいて、この仲間が斬られるシーンがとても切ないです。しかも斬られたやつが滅茶苦茶若いんですよ。やっぱり史実通りに仲間がどんどん居なくなって、鳥羽伏見の戦いを経て、最終戦は函館総攻撃です。これは新撰組の最後の戦いです。味方は土方歳三、そして隊士2人です。主人公含め4人、ボスは……なんと居ません!戦うのは全員雑魚です!これだけ聞くと凄く簡単そうですが、任務全ての中でこれが一番難しい。初めはまだマシですが、戦いが進むにつれて銃弾がビュンビュン飛んでくるようになります。この任務は隊士はほぼ脱落します。そして失敗条件は土方がやられる事。このゲーム回復アイテムがなく、最悪自分だけ回復出来るんですが、味方は回復しません。つまり滅茶苦茶コレ難しいです。此方の任務達成条件は100人斬りと、函館総攻撃がどれだけヤバかったのかを体験出来ます。土方を守ったにも関わらず最後は土方はやられてしまいます。そこで主人公は散っていった仲間達の幻影をみてーーーそこには士官の姿をしていたはずの土方も新撰組の格好をしていました。主人公は戦場を駆け抜けるのですが、終幕の時に仲間の影のシルエットが写って見守られるように任務完了、と苦労するだけあってかなり凝った演出を見る事が出来ます。エンディングは土方を弔い、隊長格に会釈をしてそれぞれ別々の道を示唆するように物語は終わります。
偉人録という偉人達のifの話を楽しめるモードもあります。正史通りもあれば、運命が変わるものもあり、これは割愛させてもらいます。
さてたっぷりと思い出を話しました。勿論、記憶だけでなく少し動画を確認しました。今みると、子供の頃はそうでもなかったけど涙がポロポロでましたね。鳥羽伏見の主人公同士の衝突ーーーここで思想がぶつかるわけですが、勝った者と負けた者、古い時代と新しい時代ーーー時代の畝りに命をかけた武士と志士の、両方の想いが、なんかどっちも良い悪いで判断出来ないというか。勿論、新しい方が勝ったからこそ今があり明治の強い日本へとなったわけですが、古いものを守ろうとして散っていった者達を蔑ろには出来ないなって、このゲームを振り返ってしみじみと思いました。
歴史って偶然と偶然の積み重ねです。根拠が出るたびに『変わる』ものですが、あった事というのは絶対に『変わらない』です。その偶然の中に今も紡がれ、完全に終わるその時まで、良かれ悪かれ続いていくものです。たまには今でないところの歴史を見つめて、浸ってみるのもいいのではないでしょうか。
ここまで長々とありがとうございました。