3.5次元の不倫 -40ページ目

3.5次元の不倫

この本は恋愛と人生についての小説ですが、
ひきつづき児童書(英語の対訳付)を書きました。
おたのしみに!

「ねえ、お箸が正しく持てる補助具っていうのはどうかね」

女性は男性よりはるかに商品知識が豊富であったから、あるいは、「ダメよ、そんなの!」と一笑に付されやしないかとの危惧があったらしく、小谷野はおそるおそるといった口調だった。悪くない、と直感的に思った。

「いいかもよ。私が知る限りでは、そんな商品、見たことがないもの。いくら出生率が低くなっても、子どもがゼロになるっていうことはないんだから、確実にリピートがかかるわけでしょう。上手くすればロングセラーになるかもしれない。ショー君のお蔭でひらめいたわね」

「高望みをするつもりは全くないけど、これなら何とかなりそうな気がする。よし、とりあえず<訓練箸>っていう名前にして、図面を描いてみるよ」

「ぬかるみから這い出たような感じね。ショー君とサンの小屋に感謝しなきゃね」「ああ。少し気持が軽くなったよ。景気づけにそこら辺をひとっ走りしてくるか」

「そうね。前祝に<魚勝>で鯵のお刺身を作ってもらいましょうよ。ヒントを与えてくれたショー君にも、一つだけオモチャを買ってあげるっていうのはどうかしらね?」

「そうしよう。おーい、ショー君、オモチャを買いに行くよ」

「はーい」

大喜びで部屋に上がってきた息子を、小谷野が高々と抱き上げた。希望を感じた瞬間だった