「ねえ、お箸が正しく持てる補助具っていうのはどうかね」
女性は男性よりはるかに商品知識が豊富であったから、あるいは、「ダメよ、そんなの!」と一笑に付されやしないかとの危惧があったらしく、小谷野はおそるおそるといった口調だった。悪くない、と直感的に思った。
「いいかもよ。私が知る限りでは、そんな商品、見たことがないもの。いくら出生率が低くなっても、子どもがゼロになるっていうことはないんだから、確実にリピートがかかるわけでしょう。上手くすればロングセラーになるかもしれない。ショー君のお蔭でひらめいたわね」
「高望みをするつもりは全くないけど、これなら何とかなりそうな気がする。よし、とりあえず<訓練箸>っていう名前にして、図面を描いてみるよ」
「ぬかるみから這い出たような感じね。ショー君とサンの小屋に感謝しなきゃね」「ああ。少し気持が軽くなったよ。景気づけにそこら辺をひとっ走りしてくるか」
「そうね。前祝に<魚勝>で鯵のお刺身を作ってもらいましょうよ。ヒントを与えてくれたショー君にも、一つだけオモチャを買ってあげるっていうのはどうかしらね?」
「そうしよう。おーい、ショー君、オモチャを買いに行くよ」
「はーい」