「素晴らしいですね。それ、出版してみましょうよ。きっと、売れますよ。だって、動機が世直しですもの。きっと、宇宙が味方してくれますよ。自費出版でもいいじゃないですか」
「あはは。まずは書いてみなくちゃね。しかし、考えてみれば、ウーちゃんが小谷野さんと訳ありにならなければ、今あることも、これからのこともすべてが無なわけだよね。してみると、これは仕組まれた不倫なわけだよ。確かに表向きは不倫だけど、もっと深いところでの結びつきなんだと思うよ。そのことに、誇りを持っていいと思うよ」
「ありがとうございます。吾朗とも話すことがあるんです。店がつぶれ、会社は倒産して、惚れた脹れたの関係だったら、ここまで一緒にやってこれたかどうかわからない。ところが、不思議と、ひどい目に遭っても気持ちが荒むどころか、かえって魂が清められていく。これは、つまりはどういうことか。すべては、自分たちを成長させるための神のプログラムだったんじゃないかって。事実、二人とも、大切なのは物質ではなくて、精神世界なんです。それで、自分たちは四次元と三次元の間、つまり三・五次元の人間なのかもしれないって、勝手な解釈をしているんです」
「いや、ちっとも勝手じゃないよ。この娑婆は皆、自分のことで汲々としている。だけど、愛や優しさに包まれた人がいないと困るからね。神だか誰だか知らないけど、きっと一定の比率でそういう要素の強い人を送り出すんだよ。二人がまさにそれだ。だけど、二人とも我の強い人間だからね。最初から一緒になっても、うまくはいかないし、修行にもならないだろう。だから、あえて不倫という苦しみを負わせたわけだよ。すごいじゃないか。選ばれた者同士、三・五次元の不倫っていうわけだ。トーホーじゃ、役不足で悪いけど、この場でけもの道の卒業証書を渡すよ。よく頑張った。二人は、もう不倫じゃないよ。三・五次元のベストカップルだよ」
「ありがとうございます。身も心も芯からきれいになれました。三・五次元のベストカップル。胸に刻んで生きていきます」