第13章 因幡の白兎(21) | 3.5次元の不倫

3.5次元の不倫

この本は恋愛と人生についての小説ですが、
ひきつづき児童書(英語の対訳付)を書きました。
おたのしみに!

「ねっ、そうでしょう。だいたい私は昔から自分の干支が好きになれなかったのよ。兎って耳が長いだけで何の取り柄もないでしょう。名前だって四月生まれだから卯月でしょう。ずっと、猪年の葉月になりたいと思っていた。うちの姉よ。いいところは、全部姉に持ってかれちゃったんだもの」

「僕は自分の干支をそこまで深く考えたことはないな。馬力があるくらいに思ってきたけど、痩せ馬の先走りってこともある。アハハ、こりゃ、いいや。貧馬の先走りだとさ」

「アハハハ。ねっ、干支ってその人をよく表しているのよ。だけど、兎はサメだかワニをだましたんでしょう。私が誰かをだましたかしら? その逆じゃないの、それなのに…ひどいわ」

「大黒様が現れて、救ってくださるのを待つしかないなあ」

「さあ、どうでしょう。望み薄じゃないのかしらね」

 大きな袋を肩にかけ  大黒様が来かかると

ここに因幡の白兎   皮をむかれて丸裸

 取りつかれたように何度も歌った、小谷野は黙ったままだった。

 

年が変わり息子はまもなく幼稚園を卒業であった。露木さんとの雇用関係はすでに終止符が打たれていた。息子の小学校入学を控え、生きるステージをどこに置くか、決断をせまられていた。