「お腹がすいたでしょう。お刺身が半額になっていたから買ってきたのよ。ビールでも飲んで景気をつけましょうよ」
「うん、そうだね」
刺身とビールの誘い水もさしたる効果はなく、表情は冴えなかった。
「何かあったの?」
「いやあ…、疲れて帰ってきた早々、良い話じゃなくて悪いんだけどねえ…」
「大丈夫よ。隠されるのが一番イヤだわ」
「うん…。さっき美校社から支払い調書がきたんだけどね、こっちの予定より半分も少ないんだよ」
「ええっ、何で! おかしいじゃないの!」
「電話して聞いてみたらね、その分はまだクライアントから入金されていないから払えないっていうんだよ」
「でも、こっちとしては、ちゃんと納品して締切日までに請求書を出しているんだから、それは美校社が立て替えて払ってくれるべきでしょう」
「言いました。全く同じ事をね。そしたらさ、昔は立て替えて払っていたんだけど、回らなくなったって言うんだよ。勘弁して下さいって、苦しそうだったよ」
「支払われていないっていうのは、本当なのかしら?」
「さあね。でも、どっちにしても資金繰りでアップアップなんだろうよ。極小のプロダクションなんてそんなもんだよ」
「そんな所にすがっている方が悪いのよね。だらしない話だわ、まったく」