地獄と天国 ~中編~ | 35歳年上の夫は師匠でエイリアン! 

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【夫】台湾人 × 【妻】日本人

国際結婚? いえ、惑際結婚ですから!

気がつけば2男1女。

あの男を見ていると、とても同じ人類だとは思えない。
漢方薬を水なしで飲めるなんて
一体どんな味覚をしてるんだ、あのおっさんは。

 

 

 

朝、病院から電話があって

出かける前。

 

 

一応、念のためと思い、

私の住まいに隣接する

父の自宅を覗いてみたのだが。

 

 

人の気配はなかった。

 

 

 

 

でも。

 

 

 

念には念を押そう。

 

 

 

 

帰宅後。

 

こう思い、父の自宅の

ドアノブを掴んだ。

 

 

 

 

 

 

 

開いてる...?

 

 

 

いや。

 

鍵は、ちゃんとかけて

出かけたはずだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

テレビの音...?

 

 

 

 

え...?

 

 

 

 

急いで居間へ走ると。

 

 

 

居間の隣の台所で、

茹でた素麵を水に晒している

行方不明の男を発見。

 

 

 

 

 

これのどこが検査だ!

 

 

 

 

 

「お父さん!」

 

 

 

 

 

あの瞬間。

 

まず最初に

何を思っただろう。

 

数日前のことなのに、

もう記憶は朧気だ。

 

 

 

あれは

安堵だったか。

 

それとも、

拍子抜けだったか。

 

 

 

 

どうやら、父は。

 

私が出かけた後、

帰宅したらしい。

 

行き違いになったのだ。

 

 

 

 

 

「ちょっと! ここで何しとるん!?

病院から電話かかってきて、その後はもう、

病院に行ったり、施設に行ったり

警察に電話とかって、大騒ぎやってんから!」

 

 

 

 

 

父に話を聞くと。

 

もう検査を受けるのは

嫌になったとのこと。

 

 

父は脳梗塞の数年前に

癌の手術をしたのだが。

 

術後の定期検診が

半年に一度あり、

 

今回は胃カメラと、もうひとつ

別の検査をすると言われたらしい。

 

 

 

 

 

「だったら、嫌だって言えばよかったのに」

 

 

 

 

 

父曰く。

 

断りたいと申し出たところで、

なんだかんだと医者に返され、

結局、検査を受けることになる。

 

 

父には言語障害があるから、

うまく言えないというのも

あったのかもしれない。

 

 

 

だからなのか。

どうやら。

 

検査の予約だけは入れて、

すっぽかすことにしたらしい。

 

 

 

 

父の主治医曰く。

 

術後の定期検診は

半月前の検査が最後。

 

再発している様子もない。

 

今回は念のための検査なので、

父が嫌なら無理に受ける

必要はないとのこと。

 

 

 

まあ、だから。

いいのよ。

 

検査自体は、この際。

受けようが、受けまいが。

 

 

 

問題なのは、

この騒ぎ。

 

もう少しで、警察の

お世話になるところだった。

 

 

 

 

父は私から聞いて

知っていたはずなのだ。

 

予約した検査に行かなければ、

病院から電話がかかってくることを。

 

 

前にも一度、検査の日を忘れて

行きそびれた際にも電話があり、

そのことは父に伝えてあった。

 

 

 

 

だから、

分からない。

 

父が果たして、今回の

「行ったふり劇場」のどこに

成功する要素を見出していたのか。

 

 

 

たとえ病院に行く体を

装ったところで、

 

実際に行ってなきゃ、

電話かかってくるわ。

 

 

 

 

胃カメラがあるからって、

わざわざ朝食まで抜いた?

 

 

 

 

そりゃあ。

 

施設のスタッフさんが

父は病院に行ったと思うのは

当然だ。

 

 

 

 

もしかして。

 

途中まで、

行くつもりでいた...?


 

 

 

まったく。

 

一体、誰に対する

何の工作だったんだ。

 

 

 

やるのなら。

お願いだから。

 

もう少しうまく

やって欲しかった。

 

 

 

いずれにせよ。

何がどうであれ。

 

方々の関係者を巻き込んで、

大騒ぎになったことだけは

間違いない。

 

 

 

父にしてみれば、

ここまで大事になるとは

思い及ばなかったのだろう。

 

でも、なったのだ。

実際に。

 

 

 

たくさんの人が

否応なく巻き込まれ、

予定を狂わされ、

慌てふためいたのだ。

 

 

 

 

 

お父さんが、どこかで

行き倒れてたらどうしよう...

 

 

 

 

 

ねえ、お父さん。

 

病院から電話がかかってきてから

居間で見つける瞬間まで、

ずっとこう思っていた私の気持ち。

 

少しは想像できる?

 

 

 

 

 

それにしても。

 

すぐに父が見つかって

本当に良かった。

 

 

もし。

 

父が帰宅する代りに

買い物にでも出かけていたら、

 

警察に電話することに

なっていたはずだ。

 

 

 

 

 

この後。

 

私が関係各所に

深くお詫び申し上げたことは、

言うまでもない。

 

 

 

 

 

 

 

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