大安□日 | 35歳年上の夫は師匠でエイリアン! 

35歳年上の夫は師匠でエイリアン! 

【夫】台湾人 × 【妻】日本人

国際結婚? いえ、惑際結婚ですから!

気がつけば2男1女。

あの男を見ていると、とても同じ人類だとは思えない。
漢方薬を水なしで飲めるなんて
一体どんな味覚をしてるんだ、あのおっさんは。

今年の5月。

 

うちから車で5分程の場所に、

新しいドラッグストアが

オープンした。

 

 

 

このお店。

 

ポイントカードはなし。

各種ペイ払いはできない。

クレジットカードもNG。

 

 

現金以外で使えるのは

ビール券のみという、

 

市内の他のお店では

まず見られない

営業スタイルを取っている。

 

 

 

が。

 

店内の商品はすべて

税込表示価格で、

 

特売のお品物の中には、

思わず声が出そうになるほど

お安いものがある。

 

 

 

そのひとつに

卵があるのだが。

 

 

 

サイズ色々10個入りで

税込み99円。

 

 

ただし。

 

この価格で買えるのは

ひとつだけ。

 

2つ目からは

税込158円。

 

 

 

 

 

 

さて。

ここで質問です。

 

 

このセール期間が

3日間だとして。

 

連日通えるだけの

時間の余裕があるとして。

 

 

 

あなたは

3日間通しで、

 

その99円の卵を

買いに行きますか?

 

 

 

 

 

 

 

ちなみに。

私は行きます。

 

 

 

 

 

 

もちろん。

 

卵以外にも

目的はあります。

 

その他の特売品も

買いますし。

 

ついでに買う

お品物もあります。

 

 

 

 

 

 

2点までは79円。

3点目からは98円。

 

2点目までは148円。

3点目からは178円。

 

 

 

 

私なら。

 

どちらも2点目まで

きっちり手を出します。

 

 

 

 

しかも。

3日間とも。

 

 

 

 

そうです。

 

私はそういう

人間なのです。

 

 

 

 

 

そんなある日。

私はふと。

 

レジで、なんとなく

後ろめたさを感じました。

 

 

 

 


 

 

 

「この女、また来たよ。

毎日毎日セールのもの

ばっかり買いに来やがって」

 

 

 

 

 

 

 

もしや。

 

レジのスタッフさんは、

私のことをこう思ってるんじゃ...

 

 

 

 

 

 

人は自分を映す鏡とは

よく言ったものです。

 

 

 

 

 

スタッフさんは、いつもと変わらず、

にこやかに対応してくれていたのです。

 

 

 

にもかかわらず。

 

私がそんなふうに

引け目を感じたいうことは。

 

 

 

 

 

 

自分で自分のことを

そう思ってるってことよね。

 

 

 

 

 

 

今朝。

 

卵焼きを作りながら、

傍にいた次男に

この話をした。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ねえ。レジの店員さん。

母ちゃんのことさー。

この女、毎日特売の卵ばっかり

買いに来やがって。よっぽど暇ねんなって

思っとるかな?」

 

 

 

「え? 何? セールの間、安い卵

毎日買いに行っとるん?

ふわははははははははははははは!」

 

 

 

 

 

 

次男。

 

あなたが今から

食べる卵焼きはね。

 

その特売で買った

卵で作ったのよ。

 

 

 

 

 

 

 

「きっと、店員さん。

そう思っとるんじゃね?

このおばさん、今日も来たって。

わはははははははははははははは!」

 

 

 

「やっぱり、恥ずかしいかな....?」

 

 

 

「そうなんじゃね?

わはははははははははははははは!」

 

 

 

「もう止めたほうがいいかな...?」

 

 

 

「そうなんじゃね?

わはははははははははははははは!」

 

 

 

 

 

 

 

 

この会話の後。

 

子供たちを学校へ

送り出し、

 

静かな時間が

訪れた際。

 

 

私は自問自答した。

 

 

 

 

 

 

もし私が。

 

自分が理想に描く通りの

お金持ちだったとして。

 

望み通りの額の預金が

銀行口座にあるとして。

 

 

それでも、私は。

果たして。

 

3日間を通して、お安い卵を

買いに行くだろうか...?

 

 

 

 

 

 

私が出した答え。

 

 

 

 

 

うん、行く。

 

だって。

 

それが

あなたでしょ?

 

 

 

 

 

更に問う。

 

 

 

 

 

店員さんに

呆れられても?

 

 

 

 

 

うん、行く。

 

時間がない時は、

無理してまでは

行かないけど。

 

行けたら行くわね。

 

 

 

 

 

 

 

やっぱり。

これが私だった。

 

 

 

 

 

 

この問答の後、

不意に思い出した。

 

昔読んだ本の中に

あった逸話。

 

 

 

 

 

香港のある大富豪。

 

一代で成功を収め、ドライバー付きの

ロールスロイスに乗っている。

 

 

 

この御仁。

 

歯ブラシ一本を買うために、

街中のドラッグストアを

一店一店ロールスロイスで

回らせる。

 

 

 

もちろん。

 

1セントでも安い

お店を探すために。

 

 

 

最後には

ドライバーが疲れ果て、

 

 

 

 

 

 

「ここのお店は、〇セント安かったです」

 

 

 

 

 

 

こう噓をつき、

 

実際の価格との差額分は

自腹を切ることで、

 

延々と続く

歯ブラシツアーから

逃れたそうだ。

 

 

 

 

 

 

 

街中で最安値の

歯ブラシを買えた。

 

 

 

 

 

 

こう思った

大富豪は大喜び。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ああ、師匠。

 

香港にも

私の師匠がいた。

 

顔も名前も

知らないが。

 

 

 

 

 

そして。

私の鍼灸の師匠。

 

師匠には、お金持ちの

顧客が何人もいたのだが。

 

 

 

 

 

 

 

「金持ちは、みーんなケチくさいよ。

庭の植木は自分で刈るし、

自分で散髪する人もいるよ。」

 

 

 

 

 

 

 

唸ったわ。

 

 

 

 

 

 

更に。

 

「ダメージ」というタイトルの

アメリカのドラマ。

 

 

グレン・クローズ演じる

有名な大物弁護士。

 

空港の自販機で、彼女が

お菓子を買おうとすると。

 

 

どういうわけか。

 

お金を入れていないのに

品物が出てきた。

 

あるいは。

 

ひとつ分の料金で

ふたつ出てきたんだったか。

 

 

 

 

 

 

 

「おかしなものね。

どれだけお金持ちになっても、

タダだと思うと嬉しいわね」

 

 

 

 

 

 

 

 

なんと美しい

セリフだろう。

 

 

 

 

 

 

極めつきは、

パタリロ。

 

 

 

 

 

 

「1円節約することは、

1円稼ぐことと同じ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

肝に銘じなければ

ならない。

 

特売ハンターに

不可欠なのは。

 

何よりも。

 

面の皮の

厚さなのだ。

 

 

 

 

人様の視線を気にしていて、

お安い卵が買えるものか。

 

 

 

 

思えば。

 

3人の子育てをしてきた

私にとって、卵は戦友だ。

 

 

お高い時でも、

ひとつ20円前後。

 

 

毎朝の子供たちの

おかずに欠かせない。

 

 

 

 

 

 

「今日も、ちゃんと卵がある」

 

 

 

 

 

 

冷蔵庫を開けて右。

 

つるんと、まあるい仲間たちが

きれいに並んでいる姿は、

安心の象徴に他ならない。

 

 

 

お陰様で。

 

毎日子供たちに

朝ご飯を食べさせ、

学校へ送り出すことができる。

 

 

 

 

 

 

 

 

この世に、買い物の

神様がいるとして。

 

 

その神様のご恩恵を

最も身近に感じられる

ひとコマが、

 

半額シールのついた

お品物とのご対面時だろう。

 

 

 

 

 

 

ミルキーがママの味なら。

半額は官能のお味。

 

 

 

 

 

恋人のキスや甘い囁きよりも

私は半額シールに興奮するわね。

 

 

 

 

 

 

性なのよ。

 

 

 

 

 

 

さて、ここで。

再度質問です。

 

 

 

 

 

 

 

大安□日

 

 

 

 

 

 

この□の中に、

ひとつ文字を

入れるとしたら。

 

 

 

あなたは何を入れますか?

 

 

 

理知的で洗練された

あなたなら、きっと。

 

 

 

 

「吉」

 

 

 

 

この一文字を

入れたはず。

 

 

 

 

 

ちなみに。

私の次男は。

 

 

 

 

 

「売」

 

 

 

 

この文字を入れました。

 

 

 

 

 

やはり。

 

私が育てると

こうなります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「母ちゃん。今日はあの店に

安い卵、買いに行かんかったやろうね。

恥ずかしいわー」

 

 

 

 

 

 

昨晩。

 

次男が私に

こう訊ねました。

 

 

 

 

 

 

 

 

「うん。今日は行かんかった!

他のお店で、賞味期限が近い卵

たくさん安売りしとったから!」

 

 

 

 

 

 

 

 

面の皮は整った。

 

あとは。

お金持ちになるのみ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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